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リビアで戦闘泥沼化、死者1千人 中東・欧州の利害錯綜 

3日、リビア・トリポリ近郊で空爆によりがれきが散乱した移民・難民収容施設(AP)
3日、リビア・トリポリ近郊で空爆によりがれきが散乱した移民・難民収容施設(AP)

 【カイロ=佐藤貴生、大内清】リビア東部を拠点とする有力軍事組織「リビア国民軍」(LNA)と、西部の首都トリポリを統治するシラージュ暫定首相の政権側との戦闘が泥沼化の一途をたどっている。サウジアラビアやトルコなど中東の大国がそれぞれの陣営を支援しているのに加え、リビアに石油利権があるフランスとイタリアの利害も対立。分裂状態が続く産油国リビアは、代理戦争の舞台となっている。

 ハフタル司令官が率いるLNAは4月、トリポリへの進攻を開始し、世界保健機関(WHO)によると、戦闘での死者はこれまでに約1千人に達した。今月2日にはトリポリ近郊の移民・難民収容施設が空爆を受け、50人以上が死亡。国連安全保障理事会は5日、空爆を非難し、両陣営に停戦と紛争解決を呼び掛けた。

 だが、戦闘が終息に向かう兆しはみえない。

 LNAには、隣国エジプトやサウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)などが兵器を供与。暫定政権側は今回の空爆にUAEの戦闘機が使われたと非難した。エジプトなどはハフタル氏主導でリビアを再統一し、同国で近年伸長したイスラム過激派勢力の封じ込めを図りたい考えだ。距離を置いてはいるが、ロシアも同様の立場とみられる。

 これに対し、イスラム色が濃い暫定政権側を支援するのがトルコやカタールだ。ロイター通信などが外交筋の話として伝えたところでは、トルコは最近、暫定政権側へのてこ入れのため、武器を輸送した。

 さらに、リビアをめぐる仏伊の対立関係が事態を複雑にしている。仏石油大手トタルが東部に利権を持つフランスはLNAを支持し、東部ベンガジに特殊部隊が駐留しているともいわれる。一方、リビアの旧宗主国イタリアは暫定政権側に肩入れしてきた。伊石油大手ENIなどはトタルを上回る規模の利権を持つ。

 リビアでは2011年、当時のカダフィ政権が内戦の末に崩壊。混乱に乗じて「イスラム国」(IS)などの過激派が乱立し、地中海経由で欧州を目指す不法移民の出航基地となった。イタリアは最近、移民が乗った船の入港を拒否しており、リビアの不安定化は、欧州における移民問題を再燃させる可能性がある。

 リビアをめぐり欧州すら足並みがそろわない中で、中東域内の大国が介入の度合いを強め、紛争の長期化を招いているのが現状だ。

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