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【加藤達也の虎穴に入らずんば】正恩氏悩ます中露の軍事演習

30日、南北境界線にある板門店で話しながら移動するトランプ米大統領(左)と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長(ロイター)
30日、南北境界線にある板門店で話しながら移動するトランプ米大統領(左)と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長(ロイター)

 シンガポールとベトナム・ハノイで、1年以内に2度も「出会い」と「別れ」を演じた米国のトランプ大統領と北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長。トランプ氏が今回の会談にあたり「出会った初日からお互いに好きだった」と告白しているように2人は最初から、いい感じのコンビだった。

 1本のツイートをきっかけに首脳会談までいってしまったが、投稿からわずか1日後の6月30日午後には会談成立である。外務省の幹部は「2人にはプロトコル(儀典)だとか、アドレフ(本国政府承認前提の暫定)合意だとか、外交の常識は一切無用なのだ」と驚く一方で、「逆に見れば2人は、非核化交渉が行き詰まる中で腹案もなく首脳会談に臨み、進展があると見込んではいなかったはず」と、不安定感を指摘する。

 先日、来日した北朝鮮の元駐英公使、太永浩(テ・ヨンホ)氏によれば、正恩氏は北朝鮮では「神」のように偶像化されている。正恩氏の言動は常に堂々と無謬(むびゅう)で「神」の威厳をたたえ、不安定感とはほど遠いはずなのだが…。

 今回はシナリオや演出を練り上げる余裕もなかったか、北の官製報道を見ても交渉継続の意思と信頼関係の強調以上のものは伝わってこなかった。

× × ×

 キャストや舞台設定などの見た目が華やかで複雑なシナリオ展開のドラマほど、筋を追うのが難しい。今回の板門店会談も惑わされてしまいそうだが本質は正恩氏がなぜ準備もなく飛びついたのか、だろう。

 実は、正恩氏が板門店会談を即決した背景に、北朝鮮がロシアと中国に軍事的に追い込まれているからではないかとの見方がある。

 中朝国境付近で昨年9月中旬、ロシア軍がソ連崩壊後最大規模とされる軍事演習「ボストーク(東方)2018」を実施した。

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