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不信拭う政治ショー「私の越境を望みますか」 事務方・報道陣は混乱

軍事境界線を越えて北朝鮮に入るトランプ米大統領(左)と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長=30日、板門店(ロイター)
軍事境界線を越えて北朝鮮に入るトランプ米大統領(左)と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長=30日、板門店(ロイター)

 【ソウル=桜井紀雄】朝鮮半島の分断の象徴である南北軍事境界線を並んで越え、固い握手を交わしたトランプ米大統領と北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長。米朝トップ初の「世紀の平和ショー」によって、両首脳はともに、内外でくすぶる非核化交渉への不信感を払拭する上で十分な手応えを得たようだ。

 30日午後3時45分ごろ(日本時間同)、トランプ氏は、軍事境界線がある板門店(パンムンジョム)で韓国側施設から姿を見せ、北朝鮮側に向かって1人で歩きだした。北朝鮮側施設から黒い人民服姿で現れた金氏もゆっくり近づき、境界線を挟んで再会した。

 「ここで会えるとは思っていなかった」と満面の笑みをたたえて話す金氏の背中に、トランプ氏が親しみを込めて腕を添えた。

 トランプ氏は身振りを交えながら「私が境界線を越えることを望みますか。越えられれば、光栄だが」と尋ね、金氏が同意を示すと、ためらうことなく北朝鮮側に一歩踏み出した。

 「史上初めてわれわれの地を踏んだ米大統領となった」。金氏はこの“歴史的越境”をトランプ氏の「英断」がなせるわざだと持ち上げた。トランプ氏は「多くの進展があり、強固な友情が築かれた。金氏とは出会った初日からお互いに好きだった」と応じた。金氏と肩を並べて北朝鮮側に十数歩越境し、握手して再び韓国側に戻った。

 トランプ氏が当初、「2分程度」でも、としていた対面は53分間に及んだ。略式の会談で、金氏は「敵対関係にあった両国が平和の握手を交わしたこと自体が昨日とは違う今日を表す」とも強調した。

 トランプ氏の思い付きからわずか1日後の対面の強行に、米朝の事務方や現場の取材陣の混乱ぶりは隠せなかった。「世紀の再会」を生中継するテレビカメラの映像は、警護員や別のカメラマンに何度も遮られ、怒号が飛び交った。

 米メディアによると、米大統領報道官が北朝鮮当局者ともみ合いになり、打撲を負ったという。

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