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【ASEAN見聞録】中国「一帯一路」事業の縮小に成功 マハティール首相の老練手腕

 世界各地で「債務のわな」との批判を受ける中国の巨大経済圏構想「一帯一路」。事業を中国に明け渡す例も出る中、マレーシアで関連鉄道事業の見直しが発表された。立役者となったのが昨年の総選挙で再任したマハティール首相(93)だ。いったん計画中止を表明して交渉を重ね、事業規模の3割圧縮を実現。中国に事業縮小をのませた背景にはベテラン政治家の駆け引きがあった。(シンガポール 森浩)

一帯一路の根幹事業…「マラッカ・ジレンマ」解消が狙い

 「(当初案は)われわれにとってあまりに不公平だ」

 マハティール氏は4月15日の記者会見でこう説明し、中国との契約が負担となることを主張した。

 事業規模縮小が決まった「マレーシア東海岸鉄道」は、マラッカ海峡に隣接するマレー半島西部クラン港から東部クアンタン港を通り、海岸線を北上してタイ国境付近トゥンパットまでを結ぶ大規模鉄道計画だ。

 東海岸鉄道は一帯一路の中でも中国にとって重要な意味を持つ。マラッカ海峡は中国の輸入原油の8割が通過しており、米軍などに封鎖された場合、エネルギー政策は大打撃を受けることになる。その戦略的脆弱(ぜいじゃく)性は「マラッカ・ジレンマ」と呼ばれ、中国政府にとって解消は急務だ。

 東海岸鉄道が完成すれば、中国は南シナ海からマラッカ海峡の最狭部を通らずにインド洋へと抜けるルートを得ることになり、ジレンマ解消に近づく。「米海軍の一大拠点であるシンガポールを迂回(うかい)できる思惑もある。東海岸鉄道は一帯一路の根幹をなす事業だ」と外交筋は分析する。

ちらついた「スリランカの悲劇」

 中国肝いりの事業だが、他の国での一帯一路事業と同じく、契約には不透明さと不公平感が漂っていた。

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