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【主張】ノートルダム火災 悲劇に学び文化財を守れ

 フランス・パリのシンボル、ノートルダム大聖堂で大火災が発生し約90メートルの尖塔が焼失した。

 大聖堂を含むセーヌ川一帯は、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界遺産である。建物自体の崩壊は免れたが、貴重な文化財をひどく傷つける火災の恐ろしさが浮き彫りになった。

 一日も早い復興を望むとともに、原因を究明し、改めて文化財を守る意義とそのための方策を世界で共有しなければならない。

 「花の都」パリの象徴が炎に包まれるさまはショッキングで、マクロン仏大統領は「ひどい悲劇」と述べた。欧州、ひいては世界にとっても大損失である。

 ゴシック建築の代表である大聖堂は、12世紀に着工し約180年かけて完成した。ノートルダムとは「私たちの貴婦人」の意味で、歴史の古さから「カトリック教会の長女」といわれる。1804年にはナポレオンの戴冠式が行われ、文豪ビクトル・ユゴーの小説「ノートルダム・ド・パリ」の舞台ともなった。

 内部には王冠などの歴史的・文化的・宗教的な美術品を多く収容する。いわばフランス人の心のよりどころだ。今回は、それら貴重な多数の文化財は運び出されるなどして焼失を免れた。不幸中の幸いといえよう。

 昭和24年1月26日には、奈良・法隆寺金堂の火災があった。模写作業中だった壁画が焼損し、その教訓から翌年に文化財保護法が制定された。30年には文化財防火デーが定められ、以来、この日には全国的に寺社で防火訓練が行われている。古い木造建築が多い日本では、防火意識の向上は常に身近な課題である。

 今回の大聖堂の火災も失火の可能性が指摘される。中央部が焼失した屋根や崩落した尖塔には木材が使われており、激しく燃えた原因とみられる。フランスでの防火対策の再検討は必要だろう。

 早くも再建に向けた動きが出ている。肝心なのは、ただ再建するだけではなく、二度と火災を起こさない決意と態勢づくりだ。

 日本では保護法以降、火災報知機や消火設備などの整備が進んだ。平成7年の阪神大震災以降は地震による延焼などの火災リスクも想定する。政策や技術面で日本が協力できるかもしれない。心のよりどころや貴重な文化財を失う悲劇を繰り返してはならない。

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