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【一筆多論】クリミア併合「宴の後」 遠藤良介

 世界最大の国土を持つロシアの人口は約1億4400万人である。とてつもなく広い国土にぽつんぽつんと都市が離れて点在している。

 それにもかかわらず、ロシア語には方言がほとんど存在しない。少数民族地域に訛(なま)りはあるが、全国でほぼ同じロシア語を話す。

 「広い国土に散らばっているロシア人には、同じ言葉で『つながっていたい』という深層心理がある。だから方言がない」。露有識者からこんな説明を聞いたことがある。

 ロシア人はまた、英語のweに相当する「われわれ」や、ourに相当する「われらの」という代名詞を無意識に多用する。ロシア国家や政権を意味する文脈でも「われわれ」をよく使うのが印象的だ。

 たとえば一般のロシア人が欧米の対露制裁について話すとき、「われわれへの制裁」と言う。「ロシアは北方領土を返さないだろう」という趣旨でも「われわれは領土を返さない」と口には出てくる。

 「われわれ」や「われらの」は連帯の言葉であり、他者の存在が想定されている。その多用には、「外敵」に対して団結するロシア人の伝統的な国民性がよく表れている。

 「クリミアはわれらのもの!」

 ロシアがウクライナ南部クリミア半島を併合した5年前、ロシアで大流行したのもこんな表現だった。これを合言葉に、人々は熱狂的にプーチン露大統領を称賛したのだ。

 ウクライナ領を奪取したクリミア併合は許されざる暴挙であり、欧米や日本は対露制裁を発動した。ロシアではしかし、60%台前半まで下がっていたプーチン氏の支持率がクリミア併合後、実に9割近くまで跳ね上がった。なぜか。

 ロシア人は、経済力や技術力で欧米の後塵(こうじん)を拝し続けてきたという劣等感を持つ。国土の大きさや第二次大戦の戦勝国であることでしか大国の誇りを支えられない。「領土」には特別な執着がある。

 「外敵」に対して団結するという国民性を、プーチン氏が自らの支持拡大に利用した側面も強かった。

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