PR

ニュース 国際

【主張】離脱延期可決 英国よ世界を翻弄するな

 英下院が29日に迫っていた欧州連合(EU)離脱を6月末まで延期する動議を可決した。延期によって「合意なき離脱」を回避しようという意思が示されたことは、事態打開の第一歩である。

 ただし、下院が2回否決してきた離脱協定案を20日までに可決することが条件であり、21日からのEU首脳会議で全加盟国の承認が必要となる。再延期はない。

 英国議員には、生活基盤や企業活動に打撃を与える「合意なき離脱」のリスクに世界をこれ以上さらすことのないよう冷静な判断を求める。3カ月の猶予で出口へ導く責任を果たしてほしい。

 EU側には「何のための延期か」と懐疑的な声もくすぶるが、加盟国間の亀裂など悪影響を阻止するために、英国の延期決断を全会一致で支持してもらいたい。

 深まった混迷の根本的原因は、英国政治の機能不全にある。

 メイ首相がEUとの折衝の末、アイルランド国境問題で修正を加えた離脱協定案は、「完全な主権回復」を譲らぬ党内の強硬離脱派の造反で葬られてきた。退陣論はあるが、保守党議員が様子見を決め込み、火中のクリを拾う気概ある次のリーダーは出てこない。

 有効な代案を示せない野党・労働党のコービン党首の信任も落ちている。1月末の英世論調査によれば、8割超は「政治支配層全体が国を誤らせた」と答えた。政治家は英国の未来より党利党略を優先させている。そう国民は愛想を尽かしているのではないか。

 英国工場閉鎖を決めたホンダの例を持ち出すまでもなく、内外の企業は防衛策に忙しい。「離脱疲れ」は英国外に蔓延(まんえん)している。

 もうひとつ懸念されるのは、北アイルランドの不穏な情勢だ。

 英領北アイルランドとEU加盟国アイルランドの国境管理問題に解決が見いだせぬ中、一部の過激派によるテロ未遂行為が起きている。偏狭な民族主義が息を吹き返し、北アイルランド紛争を終結させた1998年の和平合意が崩れる危険も取り沙汰される。

 メイ氏は、政権と議会が一致できなければ「延期期間は長期にわたる」と警告した。5月末の欧州議会選に英国が参加を余儀なくされる不可解な状況もありうる。メイ氏はダメなら身を引く覚悟で、合意形成に臨むべきである。

 それも無理なら解散か国民再投票提起を躊躇(ちゅうちょ)してはならない。

あなたへのおすすめ

PR

PR

PR

PR

ランキング

ブランドコンテンツ