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【石平のChina Watch】貿易協議、習主席の苦境

 北京大の孔教授が劉鶴氏のことを「李鴻章以下」と罵倒したことは、要するに米中貿易協議における中国側の譲歩を「喪権辱国」だと批判したことである。それは、孔教授だけの意見ではなく、国内一部勢力の声を代弁しているのであろう。

 このような状況下で、トランプ大統領との首脳会談で貿易協議に決着をつけることは、習主席にとって大変難しいことであろう。劉鶴氏が当事者として米国側との合意に達した場合、国内で罵声を浴びるのは劉氏の方だが、習主席自身が米国へ出向いてトランプ大統領と「城下の盟」を結んだ場合、「李鴻章」同様の汚名を背負って批判されるのは習主席自身である。

 「民族の偉大なる復興」を政治看板とする習主席はまさに「看板倒れ」となって指導者としての威信に大きな傷がつく。国内の反対勢力はそれを理由に巻き返しを図ってくる可能性もある。だから、トランプ大統領との屈辱的な首脳会談へ行きたくないのは習主席の本音であろう。

 しかし彼自身が行かなければ、貿易戦争に収拾をつけることは不可能となり、中国経済は今まで以上の深刻な打撃を受けることとなろう。それでは習主席の政権基盤が大きく揺らいでしまう。習主席にとって今の状況は、まさに進むも地獄、退くも地獄なのである。

 それでも習主席は多大なリスクを覚悟して米中首脳会談に応じる以外に道はないだろうが、米中貿易戦争が、それで終息する保証があるわけでもない。彼にとっていばらの道はさらに続くであろう。

                  

【プロフィル】石平

 せき・へい 1962年、中国四川省生まれ。北京大学哲学部卒。88年来日し、神戸大学大学院文化学研究科博士課程修了。民間研究機関を経て、評論活動に入る。『謀略家たちの中国』など著書多数。平成19年、日本国籍を取得。

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