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【主張】全人代開幕 強国志向に警戒を怠るな 日米連携で中国の軍拡阻止を

 経済成長が鈍化しても、武力を頼む中国の強国志向は変わらない。米中両国が経済、軍事で対決局面に入った今、強国維持へ専横が強まることを警戒すべきだ。

 中国の国会にあたる全国人民代表大会(全人代)が開幕した。

 李克強首相の政府活動報告は、米国との貿易摩擦による経済への打撃を認めつつも、中国共産党の独裁維持には盤石の態勢で臨む施政方針を打ち出した。

 党支配の「核心」とされる習近平国家主席は、昨年の憲法改正で主席任期を事実上撤廃した。1年を経て一層強権に固執する習政権の姿を銘記する必要がある。

 ≪技術保護に懸念が残る≫

 今年中国は建国70年を迎える。この節目の年に設定された実質国内総生産(GDP)の成長率目標は、前年を下回る「6・0~6・5%」となった。

 対米摩擦で経済が一段と減速している状況を映した結果だ。李氏は「保護主義、一国主義」との表現で米国に不満をにじませた。

 だが、報告全体をみると、今月下旬に見込まれる米中首脳会談を前に米国への刺激を避けようとする思惑が透けて見える。

 李氏はこの日、中国の産業高度化計画「中国製造2025」について一切の言及を避けた。

 この計画は、最先端技術の国産化を図るための国家戦略だが、実現に向けた知的財産の窃取や技術移転の強要、不当な補助金などが、米国だけでなく日欧でも懸念されている。

 中国にとって覇権追求の核心となる戦略を覆い隠すだけでは、とても警戒は解けない。むしろ米国の批判にどれほど真摯(しんし)に応えようとしているのかも疑わしい。

 たとえば、外資系企業に対する技術移転の強要を禁じる外商投資法案がそうである。

 この規制は昨年末、対米摩擦を踏まえていきなり打ち出した。だが、法案は行政機関による強要を禁じるだけでは、中国側の企業が外資に隠然と圧力をかける懸念が解消されたとはいえまい。

 そもそも中国は、世界貿易機関(WTO)に加盟した2001年に技術移転の強要を行わないと約束していた。それをこれまで履行してこなかったのに、明確な罰則すら規定されていない法案でどう保証するというのか。

 知財侵害や補助金を含めて、中国が表面的に改革姿勢をみせたとしても、実効性を伴わなければ意味はない。所要のペナルティーを科すなどの具体策を明示しなければ対米関係は根本的に改善しないと認識すべきである。

 習氏の個人独裁の下で、中国はさらなる軍拡を進めている。今年の国防費として、前年比7・5%増の約1兆1898億元(約19兆8千億円)が計上された。

 ≪宗教の中国化は問題だ≫

 中国経済が停滞する中で、成長目標を上回る国防費の計上は、武力を背景にした覇権を推し進める意図にほかならない。絶対に見過ごしてはならない。

 この1年だけでも、中国は軍事と一体になった宇宙開発で、独自の月面探査や衛星測位システムを実現した。海洋では2隻目の空母の試験航行が行われた。

 李氏は「海洋強国を建設する」と訴えた。沖縄県石垣市の尖閣諸島を含む東シナ海、さらにスプラトリー(南沙)諸島の人工島で軍事拠点化が進む南シナ海で中国の動向を引き続き警戒すべきだ。

 台湾は次期総統選まで1年足らずとなった。李氏が「台湾独立」を阻止し、習氏が年初に示した国家統一の方針貫徹を表明したことで、台湾に対する中国の介入が懸念される。台湾の自由と民主主義を支える取り組みが必要だ。

 予算額は明示されなかったが、中国国内の治安強化も掲げられた。「宗教の中国化」という表現は、新疆ウイグル自治区で進むウイグル人への弾圧を思わせる。

 ペンス米副大統領は、中国問題を取り上げた昨年の演説で国内の宗教弾圧を非難した。透明性を欠く軍拡に対しては「米国の陸海空、宇宙における軍事的優位を脅かす能力を第一目標としている」と言い切っている。どう言葉をごまかそうとも、ペンス演説の懸念をすべて裏打ちしたのが、全人代での李氏の報告だった。

 トランプ大統領には習氏との首脳会談で安易な妥協に走らないよう求めたい。地域の安全保障に関わる問題では、日米が連携して中国の専横を阻止すべきだ。

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