「北マケドニア」ギリシャ国会も承認 国名論争に終止符
【ベルリン=宮下日出男】ギリシャ国会は25日、隣国マケドニアが「北マケドニア共和国」に国名変更する両国政府間の合意を賛成多数で承認した。マケドニアは国名変更の憲法改正を議会で承認済み。両国は1991年にマケドニアが旧ユーゴスラビアから独立後、四半世紀以上に及ぶ国名論争に終止符を打った。
合意により、ギリシャはマケドニアの北大西洋条約機構(NATO)と欧州連合(EU)加盟への反対を取り下げる。マケドニアの加盟が実現すれば、ロシアが影響力の保持をうかがうバルカン半島の安定にもつながることが期待される。
採決の結果は全300議席中、賛成153票だった。合意をめぐっては、反発する連立相手が政権から離脱し、与党は過半数の議席を喪失。主要野党も反対だったが、小党や無所属議員の支持を取り付け、ぎりぎり多数派を確保した。
チプラス首相は議会承認後、「きょうわれわれはバルカン半島にとって新たなページを書き込んだ」と表明。マケドニアのザエフ首相は「歴史的な勝利だ」とたたえ、EUやNATOも議会承認を歓迎した。
マケドニアの名称はアレキサンダー大王の古代王国に由来する。同国は旧ユーゴからの独立時に採用し、同名の地域を国内に持つギリシャが反発。対立の原因となってきた。両国内ではなお反対論も強く、ギリシャでは24日、首都アテネなどで大規模な抗議デモも起きた。