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【世界裏舞台】ラブロフ発言を読み解く 作家・佐藤優

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 この会見が、ロシアの国営テレビで生中継されたことに注目する必要がある。「われわれは、日本の外交攻勢に押し切られるようなことにはならない」という姿勢をラブロフ氏はロシア国内向けに示していたのだ。

 1956年の日ソ共同宣言でロシア(当時のソ連)は、平和条約締結後に歯舞(はぼまい)群島と色丹(しこたん)島を引き渡すことを約束した。主権に関して歯舞群島と色丹島は日本、国後(くなしり)島と択捉(えとろふ)島はロシアにあることを確認し、日露間の国境線を画定する。ロシアは、国後島と択捉島に日本だけを優遇する人的交流、企業活動、観光、海洋資源利用などの特別の仕組みを作る。こうして2島返還プラスαで北方領土問題を解決するという安倍首相の外交戦略は着実に実現しつつある。

 「第二次大戦の結果、南クリール諸島はロシア領になったことを日本が認(めよ)」というラブロフ氏の主張に関しても過剰反応する必要はない。

 これは45年2月のヤルタ協定に基づきクリール諸島(ロシア側の理解では千島列島と北方四島)が連合国の合意によってロシアに合法的に引き渡されたことを承認せよというソ連時代から一貫したロシアの主張を繰り返しただけだ。ヤルタ協定は秘密協定で、日本がポツダム宣言を受諾した同年8月14日(国民にその事実を玉音放送で伝えたのは翌15日)、降伏文書に調印した同年9月2日の時点で日本はその存在を知らなかった。日本がこの密約を知るのは、46年2月11日に米国務省がヤルタ協定を公表した時点である。降伏時点で存在を知らなかったヤルタ協定に日本が拘束される筋合いはない。

 ロシアも日本の主張に道理があることはわかっている。ラブロフ氏は、「ロシア国内を説得するために日本の不法占拠論を認めるわけにはいかない。この点をよく理解して知恵を出してほしい」と河野氏にメッセージを送ったのだ。日本外務省がこの宿題を解かなくてはならない。

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