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比イスラム自治で21日に住民投票 テロへの懸念

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 フィリピン南部ミンダナオ島で、2022年に設立するイスラム自治政府への参加を自治体ごとに問う住民投票が、21日に行われる。入植キリスト教徒とイスラム教徒の紛争は半世紀に及ぶ。十数万人の死者を出した対立の終結へ期待が高まる一方、「分離独立」を掲げ続け自治政府に反対する過激派は、中東のイスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」(IS)に影響を受けてテロを起こし、和平の機運に水を差している。(コタバト 吉村英輝)

 「年の瀬の混雑を狙われた」。ミンダナオ島コタバト市内のショッピングモールの警備員は、昨年12月31日の昼下がりに起きたテロに唇をかんだ。正面玄関近くに放置された包みが爆発し、買い物客ら2人が死亡、数十人が負傷した。2階からは不発弾も見つかった。現場のコンクリート地面には、傷痕がくっきり残っている。

 地域を管轄する政府軍トップは、「ISを信奉する過激派の犯行だ」と語る。今月9日には、市内に通じる検問を突破しようとした男が軍との銃撃戦の末、射殺され、男のバイクから簡易爆弾などが見つかった。

 フィリピンの人口約1億人の9割超がキリスト教徒だが、5%はイスラム教徒で、そのほとんどがミンダナオ島西部に集中している。彼らの居住区は、貧困層地域とも重なる。

 こうした中でコタバトは、社会インフラが整い、商業も発展した地域の中心地だ。イスラム自治政府はこの地を首都にする構想だが、住民の半数はキリスト教徒で、イスラム過激派の格好の“標的”となっているのだ。

 ミンダナオ島の反政府イスラム武装勢力は、1969年にフィリピンからの分離独立闘争を開始。90年には自治地域が設置され、一部勢力は96年に政府と和平合意し、コタバト市に行政拠点が置かれた。最大勢力のモロ・イスラム解放戦線(MILF)は闘争を継続し、2014年に自治政府設立を含む包括和平にようやく合意した。

 ただし、過激主義を一掃することは難しい。島内のマラウイは17年、ISに忠誠を誓う過激派に占拠され、戦闘で計約1300人が死亡した。MILFは政府軍に協力し、元構成員も参加する過激派の掃討にも加わるなど、曲折が続いている。

 ミンダナオ島出身で和平を公約に掲げてきたドゥテルテ大統領は昨年、自治政府に独自議会や徴税権の設置を認め、独自予算の編成・執行権も認める法律に署名。「詳細の未決定を理由に反対する周囲を押し切り」(側近)、住民投票を実現させた。

 比選挙管理委員会によると、同法で決められた、自治地域を構成する5州やコタバトなどで21日に投票が行われる。2月6日には自治政府への加入を求める周辺自治体などでも投票される。有権者は計270万人に上る。

 それぞれ翌日発表予定の選挙結果を受け、自治政府の領域が確定。22年の選挙で議員が決まるまではMILFが過半を占める暫定議会が自治を担うが、どうテロを防ぐのか。行政能力自体も課題になりそうだ。

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