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【藤本欣也の中国探訪】胡耀邦像が故郷・湖南省に 失脚した指導者なのになぜ

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 「胡耀邦陵園」にも胡錦濤時代の2005年にオープンした記念館があった。故郷・湖南省瀏陽の記念館同様、失脚に関する説明はどこにもない。しかし、最後の展示室に入って思わず声を上げそうになった。

 掲げられた胡耀邦語録の中に、次のようなパネルがあったからだ。

 「私は信じている。党がいつの日か次のような歴史的決議を行うことを。永遠に永遠に、個人崇拝を厳重に禁止する、と。個人崇拝のもとでは、いかなる民主も、実事求是(事実に基づいて真実を求めること)も論外となり、その害たるやこの上なく甚だしい」

 胡耀邦氏自身、毛沢東崇拝がもたらした文革の悲劇を身をもって体験しているだけにその言葉は重い。

 しかし、現在の党指導部は習氏への一極集中を進め、個人崇拝を復活させようとしている。習時代に整備し直された湖南省瀏陽の記念館には、こんな言葉は掲げられていなかった。

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 経済だけでなく政治の改革も志向した胡氏の取り扱いが、極めて敏感な問題であることは明らかだ。

 もともと、胡氏の死を悼む大学生らの集会が民主化要求運動に転化し、天安門事件へと発展していった。「胡氏の完全な名誉回復は、運動を武力弾圧した●(=登におおざと)小平への批判につながりかねない危険をはらんでいる」(北京の大学教授)。

 湖南省瀏陽で11月に行われた胡耀邦像の除幕式。出席者中、最高位は省ナンバー3の党委員会副書記のレベルにとどまった。習氏は指導部メンバーを北京から派遣しなかったのである。

 反腐敗闘争も峠を越え、来年、天安門事件から30年の節目を迎えるのを前に、指導部は「胡耀邦」に慎重にならざるをえない。

 胡氏の「反個人崇拝」のパネルは、いつ撤去されるだろうか。そんなことを考えながら陵園を後にした。(中国総局長)

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