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金正恩流外交が始動 “先制パターン”を踏襲

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訪中前に衛視らを観閲する北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長(右)と李雪主夫人=7日、平壌(朝鮮中央通信提供・ロイター)
訪中前に衛視らを観閲する北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長(右)と李雪主夫人=7日、平壌(朝鮮中央通信提供・ロイター)

 【ソウル=桜井紀雄】北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長は年明け早々、しかも自分の誕生日である8日に北京を訪問するという“サプライズ”で今年の外交を始動させた。米朝首脳会談を前に、後ろ盾としての中国との結束を内外にアピールするという思惑がありそうだ。

 「党と政府、武力機関の幹部らは、最高指導者同志が中華人民共和国訪問で立派な成果を収めて無事に帰還することを心から祈りながら見送った」

 朝鮮中央放送など北朝鮮国営メディアは8日午前8時(日本時間同)、こう金正恩氏の訪中を報道。金正恩氏一行を乗せた特別列車の北京入りが確認される前の時刻で、訪中終了前の公表は父、金正日(ジョンイル)総書記時代には考えられなかったことだ。

 ただ、金正恩氏は昨年6月の訪中やトランプ米大統領との会談のためのシンガポール訪問でも訪問最中に報道させていた。最高指導者の外遊は、もはや安全のために秘匿すべきことではなく、積極的に内外に宣伝すべきことだと戦略を転換させた証左だ。

 李雪主(リ・ソルジュ)夫人のほか、外交を統括する李洙●(=土へんに庸)(スヨン)党副委員長や李容浩(ヨンホ)外相らそうそうたるメンバーも同行させた。対韓国工作を統括する党統一戦線部長を兼務し、昨年の対米交渉を担ってきた金英哲(ヨンチョル)副委員長も伴っており、習近平国家主席ら中国側指導部との会談で南北関係や対米交渉を主要議題にすることを明示している。

 金正恩氏は昨年3月25~28日に中国を電撃的に初訪問。その約1カ月後の4月27日に南北軍事境界線がある板門店(パンムンジョム)で韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領と初会談した。トランプ氏との6月12日のシンガポール会談の約1カ月前の5月7、8日にも訪中している。重要な外交的局面を前に、中国に“おうかがい”を立てる形で結束を強調し、その後の対南、対米交渉を優位に進めようとしてきた。

 韓国の世宗(セジョン)研究所の鄭成長(チョン・ソンジャン)研究企画本部長は、過去のパターンから見て「2月初旬や中旬」に米朝首脳再会談などが行われる可能性が高いとの見方を示した。

 金正恩氏は1月1日の「新年の辞」で、朝鮮戦争(1950~53年)の休戦協定の当事国と平和体制へ転換するための多国間協議を積極的に進めるべきだと表明している。米韓だけでなく、協定の当事国の一つである中国の協議参加を狙ったといえ、習氏らとの今回の会談でも多国間協議まで踏み込んで話し合う可能性がある。

 ただ、金正恩氏は昨年も訪中後に対米交渉での態度を硬化させた経緯があり、今回の訪中を契機に、米国に対する制裁緩和要求をさらに強めるなどする恐れも否定できない。

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