PR

ニュース 国際

【国際情勢分析】「ナイーブ」返上へ 豪州で進む中国の影響排除

Messenger
11月8日、北京の釣魚台迎賓館での共同記者会見で握手を交わすオーストラリアのペイン外相(左)と中国の王毅国務委員兼外相(ロイター)
11月8日、北京の釣魚台迎賓館での共同記者会見で握手を交わすオーストラリアのペイン外相(左)と中国の王毅国務委員兼外相(ロイター)

 オーストラリアで、中国共産党の対外活動を統括する中央統一戦線工作部の動きに対する警戒が高まっている。西オーストラリア州では、中国系議員が中国共産党傘下にあるとみられる団体の会員を辞したと発表した。豪州連邦議会では、中国の影響を念頭に、外国からの献金を禁止する改正選挙法が可決された。米国の中国研究者は、豪州でみられるこれらの動きは、中国の脅威に対処する力が西側諸国にあることを示す証左だと強調する一方、豪州の政財界は、中国の脅威に対して考えが甘かったとも指摘している。

 西オーストラリア州上院(立法評議会)議員(労働党)で弁護士のピエール・ヤン氏(35)は4日、中国共産党傘下とされる中国系の団体などに所属していると地元メディアに報じられ、同日中に各団体から脱退したことを発表した。

 ヤン氏は中国黒竜江省ハルビン市出身の中国系オーストラリア人。豪州に拠点を置く中国系経済団体など2つの組織に加入していた。豪カーティン大学で中国研究の責任者を務めたキャサリン・ヨン氏は、公共放送のオーストラリア放送協会(ABC)に、ヤン氏が所属した経済団体について、「中国共産党が国外での政治的利益を促進するための、統一戦線工作部の系列組織だ」と強調。もう一方の団体に関しても、南シナ海の領有権を主張する中国を支持する立場を取っていたと指摘した。

 ヤン氏は同州上院議員に求められている所属団体などの申告手続きを「見落とした」と述べる一方、両組織のために「法的な仕事」は一切していないと釈明した。

 豪州連邦議会でも、内政干渉など影響力拡大を図る中国に対処する動きが進んできた。同議会は11月、外国からの政治献金を禁止する改正選挙法を可決。6月には外国からのスパイ活動などを阻止するための法律も成立した。ターンブル前政権は昨年12月、中国を念頭に、外国人による政治献金や干渉を防ぐ法案を提出していた。

 元米海軍大学教授で、米政策研究機関「戦略予算評価センター」(CSBA)のトシ・ヨシハラ上級研究員は11月、東京都内の講演で、「豪州にはかつて外国からの献金に関わる法律がなかった。中国人にとってその分野は開かれていた」と指摘した。その上で、豪州連邦議会の法整備への取り組みについて、「中国が影響を及ぼす活動を難しくさせる」ための動きと捉え、「西側諸国が中国の脅威に対処できることを示す優れた指針だ」と評価した。

 ヨシハラ氏は豪州で中国による影響力の浸透が進んでいった背景について、「考えが甘い」「だまされやすい」などという意味で使われる「ナイーブ」という言葉で解説した。同氏は「豪州の政治家、実業家たちは中国の政権や(影響力の)強さに対してとてもナイーブだった」と述べ、中国の脅威に対し“無知”でいることがいかに危険であるかの警鐘を鳴らした。

(岡田美月)

あなたへのおすすめ

PR

PR

PR

PR

ランキング

ブランドコンテンツ