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【最終章EU離脱】(4)EU「防戦」続く欧州統合

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 東欧ではポーランドやハンガリーの政権が強権統治を推し進め、人権や「法の支配」を基本的価値に掲げるEUと対立する。「英国のときほど加盟国は引き留めないぞ」。トゥスク氏は不測の離脱を懸念し、危険な火遊びに警告を発する。

 EUのかたくなにも見える姿勢には、対外的な理由もある。人、モノ、資本、サービスを自由に移動させる「単一市場」こそが、EUの世界での存在感を支えているという認識だ。

 英国を含むEUは人口5億人以上の巨大市場。このことが、通商を超えた対外的な発言力をEUにもたらしてきた。膨大なルールに支えられた「単一市場」に例外を認めれば、“蟻の一穴”となりかねない。

 「単一市場の一体性は特別な力だ。米国を含む世界が私たちを尊重する理由でもある」。バルニエ氏は独メディアで語り、「英国にいいとこどりを許せば、第三国も同じ特権を求めてくる。そうなれば単一市場も欧州(統合)事業も終わりだ」と危機感を示した。

 欧州統合は戦後、市民には遠い「エリート事業」とも揶揄され、EU懐疑派の伸張はいわば市民の“反乱”だ。それは、不透明な国際社会の中で、内からEUの足を引っ張っている。英国との難交渉で垣間見えたのは、「防戦」を続けている欧州統合の姿だ。

 米中が覇権を争い、ロシアの脅威も迫る中で、EU諸国や英EUが協調を欠けば、一つの「極」としての欧州は地盤沈下する。欧州の行方は、民主主義や市場経済という価値観を共有する日本にも他人事でない。

     

 ■EU単一市場と関税同盟 域内での人、モノ、資本、サービスの自由な移動を可能にするのが単一市場。EU経済統合の最大 の成果であり、1993年に当時の12加盟国で始動した。関税同盟は、加盟国間の関税や税関措置を撤廃した自由貿易地域。単一市場の中核を成す取り決めだ。域外国に対して共通の関税を課すことになっており、参加国が域外国と独自に通商交渉を行うことはできない。

     

 この連載は、岡部伸、宮下日出男、板東和正、臼井慎太郎、高橋寛次が担当しました。

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