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【最終章EU離脱】(4)EU「防戦」続く欧州統合

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EU懐疑派ポピュリズムの台頭
EU懐疑派ポピュリズムの台頭

 「メイ英首相が国内で置かれた立場をどれだけ思いやっているのか」

 英離脱交渉が山場にさしかかっていた10月半ばの欧州連合(EU)首脳会議前のことだ。英メディアの記者がこう問いかけたのに対し、EU高官は当惑気味に答えるのがやっとだった。 「28加盟国にはそれぞれ国内事情があり、私たちも尊重している…」

 英EUの交渉は11月25日に妥結したが、ここまで難航した理由として、EU側の非妥協的な態度も指摘されてきた。英国では離脱に対する「懲罰だ」との批判があり、EUは「そんな意図はない」(バルニエ首席交渉官)と繰り返した。

 すれ違いににじむのは、双方の交渉に対する認識の差だ。

 「英国全体に最高の利益をもたらす」。離脱案の暫定合意にこぎ着けた際、メイ氏はこう強調したが、トゥスクEU大統領は「考えを共有しない」と一蹴した。離脱に伴う利益など英EUの双方になく、「ともに敗者だ」というのがトゥスク氏の認識だ。

 EUは欧州統合の存続を懸けており、交渉の目的は「ダメージのコントロール」にほかならない。

 第二次大戦後、一貫して拡大と深化を続けた欧州統合で、加盟国の脱退は初の「後退」だ。英国が2016年6月、国民投票でEU離脱を決めた時には、多くのメディアが「EUの終わりの始まりだ」と伝えた。

 欧州では当時、南欧の財政危機や難民・移民の大量流入をめぐるEUの対応に不満が高まり、EU懐疑派のポピュリズム(大衆迎合主義)勢力が台頭していた。

 EUは「人、モノ、資本、サービスの自由な移動は不可分だ」との原則を守り、英国に「いいとこどり」を認めない方針を決めた。英国が離脱後もEUの恩恵を受ければ、他国が追随して「離脱ドミノ」が起きかねないと警戒したのだ。

 その後も各国の「主権」回復を訴えるEU懐疑派は浸透を続け、虎視眈々とEU弱体化の機会を狙う。

 イタリアではポピュリズムの2政党が政権を握り、EUの財政ルールを無視した“バラマキ予算”で対立を深める。同国のサルビーニ副首相兼内相は、こう述べてはばからない。

 「EUに不満を持つ人々の手本となるよう、英国にとってよい形で交渉が終わることを期待する」

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