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米ロサンゼルス近郊山火事ルポ 感謝祭前に「つらい」

米ロサンゼルス近郊で起きた山火事により、山肌一面が黒く焼け焦げていた=20日、カリフォルニア州マリブ(住井亨介撮影)
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 【マリブ(米カリフォルニア州)=住井亨介】青く美しい海岸線と対をなすように山肌は荒々しく黒く焼け、焦げ付いた異臭が漂っていた。20日、米西部カリフォルニア州ロサンゼルスの近郊で起きた大規模な山火事「ウルジー」が猛威を振るった現場に入った。家や大切な思い出などを失った人々は「命が助かっただけでも」と気丈に振る舞いつつも、家族だんらんを楽しむ感謝祭(22日)のムードに世間が染まる中、寂しげな表情を浮かべていた。

 「火の手が早くて消火活動もできなかった」

 こう肩を落としたのは、高級住宅地として知られるマリブ市に31年間暮らすフィリップ・メイズさん(74)。

 8日に発生した山火事は9日になって自宅に迫り、両側が炎に包まれた道路を無我夢中で逃げた。思い出の詰まった自宅、書籍や絵画のコレクションなどすべてを失った。友人の家に身を寄せるが、「(精神的に)立ち直るにはまだ時間がかかりそうだ」と話す。

 地元裁判所に設けられた臨時相談センターでは、行政やボランティア団体が訪れる被災者の声に耳を傾けていた。多くが知人や親類の家などに避難しており、家の再建や健康に関するアドバイスを受ける。

 対応に当たるロサンゼルス郡の職員、ヘレン・チャベスさんによると、相談件数は増え続け、19日までに約620件に上った。生活再建の資金関係が多いが、チャベスさんは「これからは精神的なトラウマへの支援が必要になりそうだ」と話し、時間の経過とともに心理的ショックが顕在化する恐れがあるという。

 「これから焼け落ちた自宅を見に行くの」と話すアンドレア・テイラーさん(69)は、「命が助かっただけでも、もっと感謝しなければ」としながらも、「いつもの感謝祭なら家族が集まっていろいろな料理を囲むのだけれど」と寂しさは隠せなかった。

 ウルジーの延焼は約390平方キロにおよび、約1500棟を焼失、3人が犠牲となった。ほぼ鎮火したが、21日には降雨が予想され、荒れた山肌が土砂災害を起こす可能性があるとして消防は警戒を強める。

 避難先のホテルから荷物をまとめに自宅へ戻ったというジェイソン・カハンさん(39)は、「建物は残ったけど雨が降ったらとても家にはいられない。せっかくの感謝祭なのに、つらいね」と肩を落とした。

 カリフォルニア州の山火事では20日までに、ウルジーと同じ8日に発生し、「キャンプ」と名付けられたサンフランシスコ北方の火災で少なくとも81人が死亡しており、同州全体の犠牲者は計84人に上る。

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