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中国は今後もドイツと日本を反面教師にするのか 愛知学院大学准教授・柴田哲雄

会談を前に握手する安倍首相(左)と中国の習近平国家主席=10月26日、北京の釣魚台迎賓館(代表撮影・共同)
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 近年、中国は日本を含む近隣諸国に深刻な軍事的脅威を与えている。それ故に、中国はこれまで軍事面ではむしろ「慎重」に振舞ってきたといえば、読者は意外に思うかもしれない。これに関連して、習近平国家主席は2013年6月の訪米に際して、「中米両国は歴史上大国が衝突し対抗したのとは異なる新たな道を歩むべきだ」と強調した。要するに習氏は、新興「大国」の中国が覇権「大国」の米国に相対するに当たって、かつての新興「大国」のドイツや日本の轍(てつ)を踏まぬようにするつもりだと述べたのである。実際、中国は2008年頃に「韜光養晦(とうこうようかい)」という国際協調の外交方針を放棄してからも、ロシアと異なって、ドイツや日本を反面教師にするかのように、米国との軍事衝突の可能性を極力なくそうと努めてきた。

 ■ドイツを反面教師とする

 第一に、ドイツは第一次世界大戦に先立って、建艦競争により英国本土を直接の脅威にさらしたが、中国は米国との核軍拡競争に乗り出すこともなければ、米国本土に直接脅威を与えるようなこともしていない。そもそも中国は巨大な経済力を有するようになっても、依然として保有する核弾頭数を米国よりも一桁少ないままに保っている。

 もっとも、トランプ米大統領が10月20日に中距離核戦力全廃条約からの脱退を表明するのに先立って、昨年、ハリス米太平洋軍司令官(当時)が「中国の保有するミサイルの実に95%は中距離ミサイルだが、米軍にはこれに相当する装備はない」と強い危機感を示している。しかしこれも見方を変えれば、中国の核ミサイルが、少なくとも米国本土に対しては、何らの脅威にもなっていないことを、米軍幹部が裏書きしたことにほかならないだろう。というのは、中国の中距離ミサイルは、西太平洋地域での有事を想定して、あくまでもグアムなどの米軍基地や米空母を標的にしているに過ぎないからである。

 一方、ロシアはドイツの轍を踏むかのように、長期にわたる経済停滞にもかかわらず、冷戦時代と同様に米国と核軍拡競争を繰り広げ、米国本土に直接脅威を与え続けてきた。

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