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「無名の英雄」に頼る習近平政権 

中国の習近平国家主席(AP)
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 【緯度経度】中国の習近平政権は、自らの命を顧みず国益を守って殉職した無名の中国共産党員らを「人民の英雄」として称賛する動きを進めている。米中貿易戦争が激化する中、「滅私奉公」と「自力更生」を国民に求め、国難を乗り切る構えだ。

 習国家主席は9月と10月、東北地方の遼寧、黒竜江、吉林各省と南方の広東省を視察した。地方視察を相次いで行うのは異例だ。

 9月28日、遼寧省撫順(ぶじゅん)市を視察した習氏が訪れたのは元人民解放軍兵士、雷鋒(らいほう)の墓である。隣接する雷鋒記念館も見学し、「雷鋒は時代の模範であり、雷鋒精神は永遠だ」と訓話した。

 雷鋒は貧農出身。苦労を重ねて軍に入ったが、1962年、事故のため21歳で殉職した。生前、毛沢東思想を熱心に学習し、滅私奉公の精神で人民のために力を尽くしたとして63年、毛の提唱で「雷鋒同志に学べ」運動が全国で展開された。

 当時の中国は毛が主導した大躍進政策の失敗などで経済難に陥り、毛にとって威信回復が急務だった。

 米中貿易戦争で厳しい状況下にあるのは現・党指導部も同様だ。訓話前日の27日には党中央が今年殉職した4人の党員に「全国優秀党員」の称号を授与することを決定。「彼ら英雄たちに学べ」との通達を全国に出している。

 4人のうち3人は軍事専門家らで、遼寧省大連市が台風に見舞われた8月20日、「国家重要プロジェクト」に被害が及ぶのを食い止めようと埠頭(ふとう)に急行し、高波にさらわれ死亡した。プロジェクトの詳細は明らかではないが、香港メディアは「開発中の新型原子力潜水艦」と報じている。

 習氏は「『党と人民のために全てを犠牲にする』という党員としての初心と誓いを実践した」と3人の自己犠牲の精神を称賛した。

 もう一人は、黄海に浮かぶ小さな孤島を32年間守ってきた民兵で、7月、公務中に急死した。「恨み言も言わず任務に当たり、平凡な持ち場で非凡な人生を送った」(習氏)とたたえられている。

 一方、習氏が9月26日に黒竜江省チチハル市の国有企業を訪れて訓話したのは、自力更生についてだった。米中貿易戦争を念頭に、「貿易保護主義の台頭で中国は自力更生を迫られている」と語った。

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