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【世界のかたち、日本のかたち】トランプ大統領の「宝刀」 阪大教授・坂元一哉

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 だが、この本の出版から2年後のいま、米国は従来の消極性がまるで嘘のように、地政学的脅威に対して遠慮会釈なく「ジオエコノミクス」を発動している。北朝鮮、イランの核開発に対する経済制裁、ロシアを牽制(けんせい)するための中東欧へのLNG(液化天然ガス)輸出、そして中国との貿易「戦争」である。背景には、米国を世界最大のエネルギー資源国に押し上げたシェールガス革命、そして減税と規制緩和で得た絶好調の経済がある。

 米中貿易「戦争」は、米国が冷戦後における対中国関与政策を一擲(いってき)する「のろし」でもあり、今後の世界の政治、経済に与える影響は極めて大きなものになるだろう。私は、米中の力関係から見て、中国はなるべく早く米国と妥協し、事をおさめる努力をすべきだと思う。

 中国には、米国の行為は自由貿易のルールに反している、という不満があるのかもしれない。だが、中国自身のルール違反の自覚はもちろん、中国があらためて直視すべきは、自由貿易は、国際社会の原理などではなく覇権国の政策であって、どの国も覇権国とけんかして、その果実を得ることはできない、という現実である。

 米国との妥協に必要なのは、米国が表向き問題にしている知的財産権の侵害など、中国の不公正な貿易慣行の是正や巨額の対米貿易黒字の大幅縮小だけではない。経済的台頭を基盤とする南シナ海などでの軍事的台頭の自制もいる。

 いまの中国にはなかなか難しいことかもしれないが、「ライオン」に乗った大統領が、それなしに、振り上げた「宝刀」を鞘(さや)に収めるとは考えにくい。 (さかもと かずや)

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