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【緯度経度】白頭山と漢拏山の「血の秘密」 黒田勝弘

 夫人を伴い、白頭山を訪れた北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長(左から2人目)と韓国の文在寅大統領(同3人目)=20日(平壌写真共同取材団)
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 韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は今回の平壌訪問の際、かねての願いだったという朝中国境の白頭山(ペクトゥサン)を訪れいたく感激していた。この山は朝鮮民族の建国神話にかかわる“聖地”とされ、頂上に火口湖である神秘的な「天池」があって実に絶景である。筆者は過去3回、中国側から訪れているが、麓は広大な森林地帯でこれも素晴らしい景観である。

 金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長の祖父・金日成(イルソン)主席はこの一帯で抗日運動を展開したというが、実際は中国共産党指揮下にいたから活動舞台は主に中国側の旧満州だった。その証拠に、彼をたたえる『金日成将軍の歌』に出てくる山は「白頭山」ではなく中国名の「長白山」になっている。

 金日成主席の息子で金正恩氏の父・金正日(ジョンイル)総書記は1942年、白頭山で生まれたことになっているが、実際は金主席は当時、ソ連(ロシア)領に逃避しソ連軍指揮下にいたためロシア生まれだ。

 しかし金日成一族は自らの権力の正統性を飾るため「民族の聖地」である白頭山とのゆかりを虚構混じりで強調してきた。世襲3代目の金正恩氏も金正日総書記の息子だから「白頭山の血統」を受け継いだことになっている。

 ところで文在寅氏は金正恩氏の案内で白頭山を訪れ、韓国から持ってきたという韓国南端・済州島(チェジュド)の漢拏山(ハルラサン)の水を、民族融和の意味で白頭山の「天池」の水に注ぐパフォーマンスをやってみせた。金氏は今回、「早い時期のソウル訪問」を約束したことから、文氏をはじめ韓国側ではソウル訪問に合わせ済州島訪問に期待が高まっている。

 金正恩氏のソウル訪問が実現すれば、南北融和・平和共存の象徴として画期的なことになるが、済州島訪問は彼にとってはきわめて微妙な問題を含んでいる。母・高英姫(コ・ヨンヒ)が日本生まれの在日出身で、母方の祖父は済州島出身だからだ。金氏にはその血が流れているのだが、そのことは北では秘密になっている。

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