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【リーマン10年 識者に聞く】「経済不振で政治に副作用」元IMF政策審査局副局長

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【リーマン10年 識者に聞く】
「経済不振で政治に副作用」元IMF政策審査局副局長

元IMF政策審査局副局長のデスモンド・ラックマン氏 元IMF政策審査局副局長のデスモンド・ラックマン氏

 --金融危機が政治不信を招いたとの見方がある

 「過去70年で最悪の景気後退により、米国で人々が仕事を奪われ、家を失い、(政治・経済)システムが彼らのために機能しているわけではないのだと気づいた。(既存政治を否定する)トランプ米大統領誕生に至った現象は金融危機に遡(さかのぼ)ることができる」

 --具体的には

 「2016年の大統領選挙では(共和党反主流派の)トランプ候補だけではなく、(民主党左派の)サンダース候補も多大な支持を集めた。経済に幻滅した人々がポピュリスト(大衆迎合主義者)を求めるという現象が起きた」

 --米国だけの現象か

 「欧州でも同様だ。仏大統領選では4割超の票が極右と極左に投じられた。イタリアでも長年の経済不振の結果、(ポピュリスト・極右連立内閣の)おかしな政権ができた。経済運営がうまくいかないと、政治的な副作用が出てくる」

 --金融危機の痕跡とは

 「08年以降、先進国の中央銀行が金利を極めて低い水準に引き下げ、投資家が(高い利ざやを求めて)新興国に資金を投じた。ファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)が良くない新興国が優れた政策運営をしなくても、膨大な投資を呼び込める状況を招いた」

 --その結果が一部の新興国の通貨危機か

 「米国の利上げに伴い新興国から米国に資金が還流した結果、トルコやアルゼンチンなど経常収支や財政に問題がある脆弱(ぜいじゃく)な新興国が狙い撃ちにされた」

 --国際通貨基金(IMF)の元幹部として現在の米国の対応をどうみる

 「今や新興国は世界経済の半分を占める。米連邦準備制度理事会(FRB)やトランプ政権が、新興国経済に十分な関心を払っていないことに懸念を覚える」(聞き手 塩原永久)

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