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【リーマン10年 危機後の世界】自国第一の世界に備えはあるか 外信部長・渡辺浩生

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 ユーロ危機に発展した欧州も同じだ。独経済学者のマニュエル・フンケ氏らは過去約140年に世界が経験した金融危機と選挙との相関を調べ、多くが右派勢力の伸長と政治の分裂を伴う結果を立証した。

 自由民主主義体制が評判を落とすことに「世界的金融危機がとどめを刺した」とするのは米政治学者のフランシス・フクヤマ氏だ。

 トランプ大統領誕生と欧州連合(EU)離脱を決めた英国民投票、さらには米主導の国際秩序に牙をむく中露という権威主義国家の台頭に至る転換点は、リーマン・ショックだった。

 一方、好景気が続く今のワシントンに10年前を振り返る機運は乏しい。中間選挙を控え、反トランプの大手メディアや民主党支持者と、「トランプ氏は正しい」と確信する支持者が互いを激しく攻撃し合う。

 「ポピュリズムはスケープゴートと安易な解決策を探るあまり、本当の問題への対処を難しくする」と英誌エコノミスト最新号が指摘するように、世界の経済は危うさを増している。

 危機の最中に約4兆元(約57兆円)の景気刺激策を投じた中国は債務の山を抱え、米国の制裁関税で景気も減速。中南米諸国は米利上げの余波で通貨安に陥った。貿易戦争で生じた米欧の亀裂は、多国間の連携を著しく後退させた。

 「自国第一主義」が蔓延(まんえん)するリーマン後10年の世界。次への備えはあるのだろうか。

(外信部長 渡辺浩生)

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