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リラ急落1週間 米・トルコ、非難の応酬 牧師解放問題で引くに引けず

7月25日、トルコ西部イズミルで、自宅軟禁に移され、報道陣らに手を振るブランソン牧師(前列右から2人目)=ロイター
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 【カイロ=佐藤貴生】トルコの通貨リラの急落から17日で1週間となった。リラはやや値を戻したものの、急落の大きな要因である対米関係は改善の兆しがみえず、米国との間で非難の応酬が続いている。

「司法の問題」

 トランプ政権は10日、トルコに対する輸入制限を強化、リラ急落を後押しする結果となった。2016年7月にトルコで起きたクーデター未遂事件に関与したとして軟禁されている米国人のブランソン牧師(50)の解放にトルコが応じないことが背景にある。

 トルコ政府は牧師の扱いは「司法の問題だ」としている。一方で、エルドアン大統領は米紙ニューヨーク・タイムズへの寄稿で、両国関係を「非対称」なものにしかねないとして、圧力を強める米国を批判した。

 トルコ側が事件の「黒幕」だと断定しているイスラム指導者、ギュレン師は米国で暮らしているが、米側は「証拠不十分」として引き渡しに応じていない。「ギュレン師は引き渡さないが牧師は解放せよ」という米側への反発がにじむ。

メンツの争い

 キリスト教福音派のブランソン牧師は米ノースカロライナ州生まれ。約20年前にトルコ西部イズミルに渡り布教活動を行ってきた。

 逮捕されたのはクーデター未遂事件から3カ月後の16年10月で、今年7月に自宅軟禁となった。トルコ司法当局は「ギュレン運動」と関係を持ち、投獄された者たちを組織化したとしており、有罪なら35年の懲役刑となる可能性がある。

 トランプ政権にはペンス副大統領ら熱心なキリスト教徒がおり、宗教右派の支持が厚い。北朝鮮やベネズエラなどで拘束された米国人を解放してきた実績もあり、一歩も引かない構えだ。

 一方のエルドアン政権は事件を受け、ギュレン運動に関わったとされる公務員ら約16万人を一時拘束、130ものメディアを閉鎖した。社会の分断も辞さない強硬姿勢で臨む政権の下、牧師を事件と結びつけて訴追しただけに、こちらも引くに引けない格好だ。

経済的危機も

 トルコ人のジャーナリスト(52)は電話取材に、「大手メディアはみな政権寄りで一様に米国を批判しており、反米の世論が高まっている」と語った。エルドアン氏は国内外の「敵」を非難する手法で支持を得てきた。リラが年初来40%も下がったのに政策金利の大幅利上げを行わなかった失政から、国民の目をそらすのに成功した形だ。

 在トルコの西側の経済ウオッチャーは、「野党は内紛に明け暮れており、エルドアン氏に代わる指導者は見当たらない」としながらも、「経済政策に対する市場の信頼喪失は明らかで、牧師の解放が遅れれば経済的な危機も拡大する。生活必需品の値上がりが深刻化すれば、不満も高まるのではないか」と分析した。

 6月に再選を果たしたエルドアン大統領の任期は5年。対米関係改善に加え、市場を納得させる政策を示せなければ、いずれは政権への批判となって跳ね返る懸念はぬぐえない。

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