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かすむ最大限の圧力、顕在化する米朝の温度差 首脳会談から1カ月

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かすむ最大限の圧力、顕在化する米朝の温度差 首脳会談から1カ月

 米朝両首脳は首脳会談で遺骨収集や返還での協力で合意。平壌で6、7日に開かれた高官協議では「合意の誠実な履行」として北朝鮮側が遺骨発掘のための実務者協議の速やかな開催を提案していた。協議に出席したポンペオ米国務長官も8日、訪問先ベトナムで米国とベトナムの関係改善も「ベトナムで戦死した米兵の遺骨返還の協力から始まった」と、遺骨問題での米朝協力の意義を強調した。

 北朝鮮は1990~2005年に推定約630柱の遺骨を米国に引き渡した。共同発掘も33回行われ、遺骨収集のためにこの間、北朝鮮に2800万ドル(約31億円)が支払われたとされる。今後の協議でも米朝が費用をどう負担するかが焦点。米国防総省の担当者は米政府系メディアに、費用を補填(ほてん)する権限はあるとしながら「見返りとしては支払わない」と説明した。

 北朝鮮で行方不明になった米兵は5300人に上ると推定され、新たに遺骨発掘を進めると長期化は避けられない。北朝鮮にとって米国をつなぎ留める有効なカードとなる。朝鮮戦争の終戦宣言に向けた協議も提案しており、「行動対行動」を掲げ、見返りを引きだそうとするのは確実だ。

 だが、米側の主題はあくまで完全な非核化に向けた措置だ。完全な非核化まで制裁を維持する姿勢も崩していない。遺骨返還カードは米国の足止めに効果はあっても、制裁解除には有効打とはならず、北朝鮮が具体的非核化措置を迫られた現状に変わりはない。(ワシントン=黒瀬悦成 ソウル=桜井紀雄)

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