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【サウジの変革】(中)レッドラインはどこに 改革に立ちふさがる戒律の壁

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【サウジの変革】
(中)レッドラインはどこに 改革に立ちふさがる戒律の壁

サウジアラビアの首都リヤドにある複合娯楽施設。女性の大半は黒いアバヤ姿で楽しんでいた(佐藤貴生撮影) サウジアラビアの首都リヤドにある複合娯楽施設。女性の大半は黒いアバヤ姿で楽しんでいた(佐藤貴生撮影)

 こうした事情もあり、「ビジョン2030」では外貨獲得をもくろむスケールの大きな計画が目につく。その一つ、紅海沿いの北西部に建設予定の「NEOM」は実に東京都の12倍もの広さで、エジプトのシャルムシェイクやヨルダンのアカバなどのリゾートを含む巨大都市構想だ。

 経済特区も設ける予定で、欧米の人々が押し寄せるアラブ首長国連邦(UAE)のドバイを想起させる野心的な計画だ。しかし、西側のサウジウオッチャーは「重大な関門がある」と口をそろえる。酒だ。

 イスラム教の聖典コーランは、女性の車の運転を禁止する-とは一言も言っていない。しかし、飲酒はれっきとした禁止行為だ。

 他のイスラム諸国には飲酒を容認している国も多いが、サウジは、メッカとメディナというイスラム教の二大聖地を擁する政教一致国家。「サウジで飲酒できるようになったら、イスラムの総本山だと胸を張ることはもはやできない。ありとあらゆる娯楽が楽しめたとしても、酒が飲めないリゾートに欧米から人が来るだろうか」(西側外交筋)

 飲酒が合法なエジプトやヨルダンを都市構想に引き入れたのも、「飲酒するなら国外で」という狙いではないか-との推測も聞いた。

 サウジの王権は、宗教界との密接な結びつきを源泉とする。宗教上の戒律がサウジ政府の「レッドライン」だとすれば、それは皇太子の改革の最終的な限界点であることも意味する。

 大胆な改革を打ち出しはしたものの、どこまで進められるかと様子を見ているのは、皇太子も同じなのかもしれない。(リヤド 佐藤貴生)

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