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【久保田るり子の朝鮮半島ウオッチ】中国にすがる金正恩氏は中朝国境通いで大忙し 米には「サラミ戦術」で時間稼ぎ

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【久保田るり子の朝鮮半島ウオッチ】
中国にすがる金正恩氏は中朝国境通いで大忙し 米には「サラミ戦術」で時間稼ぎ

中国の習近平国家主席(左)と握手する金正恩朝鮮労働党委員長=北京・釣魚台国賓館(朝鮮中央通信=朝鮮通信) 中国の習近平国家主席(左)と握手する金正恩朝鮮労働党委員長=北京・釣魚台国賓館(朝鮮中央通信=朝鮮通信)

 米兵遺骨問題は、北朝鮮が回収し引き渡しに努力するとシンガポール合意で約束したものだ。これを受けて米側は、6月23日までに遺骨搬送用の棺100個以上を南北軍事境界線にある板門店に運んだが、北朝鮮側は棺を受領せず放置した。北朝鮮は初めから遺骨を取引材料にするつもりだったことが明白になった。

 北朝鮮に残されている米兵遺骨は約8000柱とされる。米朝は1989年以来、断続的に遺骨返還交渉を行っており、90年代には米国の専門家による調査団が訪朝し発掘作業を行い、約230柱を米国に送還、その代償として北朝鮮に2800万ドル(約30億円)を支払った実績がある。費用は、遺骨発掘のためのキャンプや資材、現地での労働者の人件費ということになっているが、実際は「現金で支払うことで北朝鮮の協力を促した」(関係者)ものだった。遺骨返還は米朝関係悪化などで2007年に中断した。

 米兵遺骨問題はその後、日朝関係にも影響を及ぼした。14年、日朝は拉致被害者や残留日本人(終戦時に朝鮮半島に在住し、帰国しなかった人々)などすべての日本人について、北朝鮮が調査するとしたストックホルム合意が成立したが、北朝鮮が応じた理由のひとつが日本人の遺骨問題だった。北朝鮮での日本人戦没者の未帰還遺骨は厚生労働省の調査で2万1800柱で、北朝鮮側には「遺骨返還はカネになる」との意識があったからだ。

 米朝協議での米兵遺骨問題は朝鮮戦争の終戦宣言に関連するが、こうしたさまざまな問題を提起することで、非核化協議の本格的な開始までの駆け引きがますます複雑になる。北朝鮮のワナにはまった非核化協議の先行きは不透明になった。(編集委員)

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