産経ニュース

【検証6・12(下)】金正恩氏は鄧小平になれるか 経済再建危うい綱渡り

ニュース 国際

記事詳細

更新

【検証6・12(下)】
金正恩氏は鄧小平になれるか 経済再建危うい綱渡り

 11日、シンガポールの観光名所を訪れた北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長(手前左から3人目)(朝鮮中央通信撮影・共同)  11日、シンガポールの観光名所を訪れた北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長(手前左から3人目)(朝鮮中央通信撮影・共同)

 南北軍事境界線がある板門店(パンムンジョム)で14日、10年半ぶりに開かれた将官級軍事会談の冒頭、北朝鮮側首席代表で朝鮮人民軍陸軍中将のアン・イクサンは「どんな逆風下でも板門店宣言を履行するとの初心を曲げてはいけない」と強調した。

 ■米の支援明記されず

 4月の首脳会談で南北が宣言に盛り込んだ軍事的緊張緩和が協議の主題だが、北朝鮮側の狙いは、南北双方の“軍縮”を通じた経済建設へのシフトにある。

 朝鮮労働党委員長の金正恩(キム・ジョンウン)は5月の党中央軍事委員会拡大会議で、米朝首脳会談を見据えた新たな国防方針を決め、経済建設への軍の貢献に期待を示した。

 軍首脳3人を入れ替える大なたも振るったとされ、6月12日の米朝会談には穏健派とされる新人民武力相の努光鉄(ノ・グァンチョル)を同行させた。だが、米大統領のトランプと正恩が署名した共同声明には、米国からの経済支援は一切、明記されなかった。

 会談中、トランプが正恩に見せたのは、漆黒の闇に包まれた夜の北朝鮮の衛星写真が突如、光にあふれる状況を映した動画だ。トランプは「北朝鮮には素晴らしいビーチがある。そこには世界最高のホテルを建てることができる」とも力説した。完全な非核化を履行すれば、明るい未来が待っているとのメッセージだが、「米政府は直接支援しない。日中韓の支援と自助努力でどうぞ発展してください」との意図もにじむ。

 北朝鮮は「米国に期待して経済建設をしたことはない」と主張しており、そうした意図は百も承知だろう。会談前夜には、代表団一行を引き連れ、シンガポールの市内観光に出るサプライズも行ったが、注目すべきは北朝鮮メディアが伝えた正恩の言葉だ。「多くの分野でシンガポールの知識と経験を学ぼうと思う」「シンガポールの経済的潜在力と発展の姿をはっきりと理解した」。名所巡りにすぎない場面で、わざわざ経済発展に力点を置いた発言を取り出しているのだ。

続きを読む

「ニュース」のランキング