産経ニュース

【米朝首脳会談】北にも実利ない共同声明 慶応大学准教授・礒崎敦仁氏(北朝鮮政治)

ニュース 国際

記事詳細

更新

【米朝首脳会談】
北にも実利ない共同声明 慶応大学准教授・礒崎敦仁氏(北朝鮮政治)

礒崎敦仁・慶応大准教授 礒崎敦仁・慶応大准教授

 共同声明は具体性がなく中途半端なものに見える。実務折衝は前日夜半まで続いたが、世紀の一括大妥結には至らなかった。トランプ大統領による首脳会談開催の意思表明から3カ月。時間不足は否めず、今後に持ち越された。

 北朝鮮が米側の譲歩を勝ち取ったように見えるが、実際には北も実利がほとんどない。長年にわたり口汚く非難してきた「米帝」との首脳会談は、金正恩委員長にとってリスクを伴う。具体的な合意がなければ米側にも解釈の余地を与えることになり、北朝鮮にとって好ましい結果ではなかったはずだ。

 攻撃を防ぐだけであれば、中韓首脳と対話を継続すれば十分だ。体制掌握に自信を持っているとはいえ、突然の方向転換が長期的に何をもたらすかは誰にも分からない。

 それでも、過去70年間の経緯にかんがみれば歴史的な第一歩といえる。朝鮮労働党機関紙は「極端な敵対関係を終わらせた」とし、金委員長は「早い時期に実践的措置」を取ると言及した。「段階的、同時行動原則を順守」する点で一致を見たという部分など、非核化に向けた現実的な方策の模索は確認できる。

 会談をめぐっては、金政権の実用主義的な側面も垣間みえた。北の報道は必ずしも金委員長の手柄だけを称賛するものとはなっておらず、中国機を利用したことも隠さず伝えた。こうした点から、米側の対応次第で核を手放す心積もりもうかがえるのではないか。

(聞き手 時吉達也)

「ニュース」のランキング