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【正論】中国の「関与」が米朝会談を壊す 文化人類学者 静岡大学教授・楊海英

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【正論】
中国の「関与」が米朝会談を壊す 文化人類学者 静岡大学教授・楊海英

静岡大学の楊海英教授(寺河内美奈撮影) 静岡大学の楊海英教授(寺河内美奈撮影)

 2002年からアジア太平洋地域の安全保障の枠組みに関する「シャングリラ対話」が同国で開催されてきた。また、15年11月7日には、「二つの中国」の指導者、台湾の馬英九総統と中国の習主席が国共内戦終結後、実に66年ぶりに握手した。

 2人とも「一つの中国」という原則を確認し合ったものの、やがて馬英九氏は下野したし、世界は「二つの中国」が併存しているという歴然とした事実を再認識した。習近平政権への過剰な傾斜さえなければ、国民党が政権を失うことはなかったと、その後台北を訪れた私に、現地の知識人たちはそう語っていた。

 これらインドネシアと台湾の現代史は、中国の介入が内政的にも外交的にも悲惨な結末をもたらす、という事実を雄弁に物語っている。

 ≪異質な北京との地域共同体に

 かつては専制主義王朝・中国の朝貢圏内にあった東南アジア諸国の中には、一党独裁の北京と運命共同体を築こうとする国が複数ある。ミャンマーはイスラム教徒少数民族のロヒンギャに対する弾圧を緩めておらず、ウイグル人に対して反人道的な犯罪を続けている中国もそれを支援している。

 カンボジアでは親北京のフン・セン政権が国内の野党を解散に追い込んだし、タイ軍事政権も中国人民解放軍との交流を深め、国内の言論弾圧を強めている。こうした現象は朝貢国と「宗主国」との一体化をもたらし、21世紀の異質な地域共同体となってきている。

 日本はシンガポールの「母体」であるマレーシアとの連携を強化すべきだろう。同国ではこのほど初の政権交代が実現し、92歳のマハティール氏が首相の座に返り咲いた。彼は西洋列強による搾取の時代を経験し、石原慎太郎氏との共著『「NO」と言えるアジア-対欧米への方策』の中では、アジアの自立と日本型近代化の有効性を説いている。

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