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【正論】中国の「関与」が米朝会談を壊す 文化人類学者 静岡大学教授・楊海英

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【正論】
中国の「関与」が米朝会談を壊す 文化人類学者 静岡大学教授・楊海英

静岡大学の楊海英教授(寺河内美奈撮影) 静岡大学の楊海英教授(寺河内美奈撮影)

 トランプ米大統領と金正恩朝鮮労働党委員長が6月12日、シンガポールで両国史上初の首脳会談を行う。習近平中国国家主席も会談に合わせて現地入りする可能性があるとの報道も出ている。朝鮮戦争(1950~53年)の休戦協定の署名当事者である米中、それに北朝鮮の3カ国首脳がそろい踏みすることになれば、新しい地殻変動が東南アジアから始まるかもしれない。

 ≪攪乱されたインドネシアと台湾

 シンガポールは65年8月にマレーシアから分離独立した国家である。東西2つの陣営が激しく対立し合っていた61年、マラヤ連邦は反共・反中国の姿勢を鮮明にしつつ、マレーシア連邦へと拡大する構想を練っていた。

 これに反発した中国系住民は独立してシンガポールを建国したが、同じ民族だからといって親中国的な政策を取ることはなかった。北京は、自身の社会主義制度に関心を示さない「華僑同胞」を「裏切り者」と罵倒し、隣国のインドネシアに接近した。インドネシアもマレーシアの成立に反対していたことから、当時のスカルノ大統領は毛沢東の急進的な共産主義制度を称賛した。

 中国は国家主席の劉少奇をインドネシアに派遣し、国家主導の社会主義政策の推進を強力に推し進めることで合意した。しかし、中国の露骨な内政干渉と革命思想の輸出を「危機」と見なした青年軍人はクーデターを発動し、華人と共産党員らを武力で排除する「九・三〇事件」が勃発。犠牲者は数十万とも100万ともいわれているが、中国政府による過剰な内政干渉と、華人による経済的利権の独占が事件の要因であったことはほぼ定説となっている。

 シンガポールは隣国の惨劇を間近で目撃しているので、常に北京の覇権主義的行動を警戒してきた。それでもシンガポールは政治の舞台に選ばれることが多い。

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