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ウズベキスタンで進む親中化 ロシアに焦り、陸上輸送覇権争い

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ウズベキスタンで進む親中化 ロシアに焦り、陸上輸送覇権争い

4月28日、ウズベキスタン東部フェルガナ州の日本人墓地で祈る墓守のハミドフ・アブトラヒムさん(左)ら(岡田美月撮影) 4月28日、ウズベキスタン東部フェルガナ州の日本人墓地で祈る墓守のハミドフ・アブトラヒムさん(左)ら(岡田美月撮影)

 中央アジアの旧ソ連構成国、ウズベキスタン。このロシアの“裏庭”に、中国が影響力を強めている。ウズベクは中央アジアで初めて、中国の教育・文化普及機関「孔子学院」が設立された国であり、中国が提唱する現代版シルクロード経済圏構想「一帯一路」も支持。親中化が進む一方で、水面下では中露対立の構図も見え隠れする。(タシケント 岡田美月)

 首都タシケント中心部で、深紅の看板がひときわ大きな存在感を放っていた。2005年、中央アジアで初めて開設された「タシケント孔子学院」。キリル文字で表記されるウズベク語やロシア語を母語とするウズベク人らが、漢字を学ぶ。

 「中国は大国だし、中国語が将来的には世界共通の言語になるだろう」。学生のサンジャ・アブドゥナザロフさん(17)は、大学教授の父にこう勧められ入学を決めた。

 ウズベクには東部の古都サマルカンドと合わせ、2校の孔子学院がある。16年には中国・習近平国家主席の彭麗媛夫人が、ウズベクのカリモフ大統領(当時)夫人とともにタシケントの学院を訪れた。中央アジアでの中国の存在を象徴する場所だ。

 文化面での進出と歩調を合わせるように、経済でも中国の影響力は広がった。欧州連合(EU)の統計によると、ウズベクの17年の貿易額のうち、中国は20・2%を占め首位。ウズベクの最大貿易相手国としての地位を長年占めてきたロシアは17・5%で2位に落ちている。

 中国が一帯一路構想を加速させる中、貿易量はさらに増大すると予想される。ウズベク情勢に詳しい京都大の帯谷知可准教授は、同国のミルジヨエフ現大統領には、「中国が国家規模で支援策を提案するとの期待がある」と指摘する。

 1991年に旧ソ連から独立したウズベクは、ロシアが主導する集団安全保障体制への加入と離脱を繰り返し、現在は非加盟状態。中国は、そんな微妙な距離感の間隙を突き、ウズベクへの浸透を進めている形だ。

 中央アジアを自国の勢力圏とみなすロシアも、対ウズベク関係の回復・強化を模索する。昨年10月には合同軍事演習も実施し、安保面の協力強化をアピールした。

 ユーラシア大陸を横断する主要な鉄道網には、ロシアを横断するシベリア鉄道のほか、中国から中央アジアを通るルートがあり、ウズベクはその重要な沿線国だ。ウズベクをめぐる中露の競争は、陸上輸送の覇権をめぐる争いでもある。

 ただ、中国の伸張に歯止めがかかる気配はない。タシケント孔子学院には、習氏とカリモフ氏が握手する巨大な写真が掲げられ、アブドゥナザロフさんは「将来は中国関係の仕事をするつもり」と教えてくれた。

     

 ウズベキスタン 中央アジア5カ国の内の一つ。首都タシケント。人口3212万人(2017年)。石油や天然ガスなどの資源国。1990年代後半には、武装勢力「ウズベキスタン・イスラム運動」が結成され、99年にキルギスで日本人技師拉致事件を起こした。かつては人権抑圧問題などで欧米との関係が悪化したが、ミルジヨエフ政権発足以降は欧米や周辺国などとの関係改善を図っている。在留邦人は137人(2016年10月)。

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