【朝鮮半島 私はこうみる】米朝首脳会談の決裂可能性低い 小此木政夫・慶応大名誉教授
北朝鮮の非核化について、北朝鮮と韓国、中国、ロシアは段階的な非核化と平和体制の構築を並行して進めるという主張で、ほぼ一致している。
一方、米国と日本は即時あるいは短期間に全面的な非核化を実行し、それが完了するまで制裁を解除しないという「リビア方式」を主張している。
しかし2回目の訪朝から帰ったポンペオ米国務長官は、13日のFOXニュースとのインタビューで、北朝鮮の完全かつ検証可能で不可逆的な非核化(CVID)と米国による体制保証を「交換する」と明言した。平壌で、何と何をディール(取引)するかが議論されたのだろう。金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長は「満足な合意」が得られたと言明した。
ディールをしようとする首脳同士が会談するのだから、米朝首脳会談はそれなりの成果をあげるだろう。逆に、これから会談を決裂させるのは、それほど容易な話ではない。
北朝鮮側の提案は南北の共同のものであり、中国の後押しを得ている。米国がそれを拒絶すれば代案がなくなってしまい、もう一度、昨年の夏から秋の状況に戻り軍事行動を検討しなければならない。日本も、他人ごとではなくなる。韓国内に反米主義が高まり、米韓同盟そのものが危険な状況に陥るかもしれない。
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