産経ニュース

【緯度経度】米が警戒する中国の軍事力増強「2035年にはインド太平洋で米軍と同等以上」 古森義久

ニュース 国際

記事詳細

更新

【緯度経度】
米が警戒する中国の軍事力増強「2035年にはインド太平洋で米軍と同等以上」 古森義久

中国河北省で中国軍を視察する習近平国家主席(中央)=1月3日(新華社=共同) 中国河北省で中国軍を視察する習近平国家主席(中央)=1月3日(新華社=共同)

 米国のトランプ政権の安全保障面での中国への対決姿勢がますます鮮明となってきた。とくに中国の軍事動向への視線が厳しい。同政権のこうした態度の背景には、米国の国政の場での超党派の中国への警戒の大きな広がりがあることを改めて痛感させられた。

 米国議会の政策諮問機関「米中経済安保調査委員会」の2月中旬の「中国の軍事の改革と近代化=米国への意味」と題する公聴会を終日、傍聴しての実感だった。中国の軍拡とその米国にとっての意味を徹底して討論するという公聴会だった。

 中国の軍事力の増強はもう20余年も続いてきた。米国の歴代政権も懸念を表明してきた。だが習近平政権下で2016年末ごろから強調され始めた「人民解放軍の改革・近代化」計画がいまや米側に異例の警戒を生むようになったのだ。

 同公聴会はこの中国軍の新計画を多様な角度から分析し、対策を勧告する試みだった。同委員会の中国や安保に詳しい委員9人に対し中国軍事の専門家10人が朝から夕まで3部会で詳細な証言と討論を展開した。

 専門家も共和党、民主党との距離は多様だが、中国の軍拡がきわめて野心的、画期的であり、米国に重大な脅威を突きつけているという認識では全員一致にみえる点が最も印象的だった。

 冒頭で証言したランド研究所の上級研究員コーテズ・クーパー氏は全体像として以下のように述べた。

 「習主席のいまの軍近代化は中国の防衛の再編と増強の過去最大の事業であり、中国軍の戦力、戦略、ドクトリン、部隊編成の強化は中国の地域的かつグローバルな利益追求と一体の野心的な内容となる」

 「中国軍はこの計画を実行すれば、2035年にはインド太平洋地域で陸海空、宇宙、サイバー、電磁波のすべての戦力で米軍とその同盟国軍と同等以上となり、米側に有事への対応を難しくさせるだろう」

 クーパー氏は米太平洋軍司令部でも長年、勤務して、中国軍の分析にあたった。

 公聴会ではこの後に中国軍の戦力増強の具体的な内容を別の米側4人の専門家が各軍別に報告した。組織再編成とデジタルの合理化で戦闘能力を拡大し、柔軟にする陸軍▽原子力潜水艦や空母などの増強で台湾海峡、東シナ海、南シナ海から遠洋での戦力を高める海軍▽パワー・プロジェクション(遠隔地への兵力投入)能力をも含めての戦闘機、爆撃機を増強する空軍▽中長距離の核弾頭ミサイルの増強を急ぐロケット軍-。こんな骨子はいずれも米軍側の戦力増強による抑止の必要性を訴えていた。

 だが総括としての最も鋭い警告は中国の戦略意図についてのジャクリーン・ディール氏の証言だった。同氏はオバマ政権時代からつい最近まで国防総省で長官顧問や戦略評価局中国担当官を務めた。

続きを読む

関連ニュース

「ニュース」のランキング