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【矢板明夫の中国点描】日本語学習者の受難は続く シャオミ騒動から見えた日中関係の現在

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【矢板明夫の中国点描】
日本語学習者の受難は続く シャオミ騒動から見えた日中関係の現在

シャオミ(小米科技)の雷軍CEO=2016年9月(ロイター) シャオミ(小米科技)の雷軍CEO=2016年9月(ロイター)

 これには雷氏も会社も抗弁のすべなく、24日に「不適切な発言で社会に悪影響を及ぼした」として、発言者の譴責(けんせき)処分を発表。発言者も「傷ついた方におわびします」と公式に陳謝した。

「日本語学習者なら日本に行け」

 さて、ここからが問題だ。新浪など中国の大手ポータルサイトでは、この騒ぎをめぐる書き込みに女子学生への同情があまりみられない。

 むしろ、「日本語学習者なら日本に行け」など、不当な発言を支持する意見が圧倒的に多かったのだ。

 北京の大学で日本語を教える中国人教師は、「数年前から日本を嫌う雰囲気が若者を中心に広がり始めた。日本語を勉強したい学生が激減している」と国際電話で嘆いた。そのうえで「習近平政権によってここ数年強化された反日キャンペーンの影響が大きい」とその原因を分析した。

 中国のテレビでは、旧日本軍の残虐性を強調する抗日ドラマが連日放映されてきた。

 最近ではニュース番組でも、中国で相次ぐ日本人拘束事案を「日本人スパイ」と言い立てて、国民の反日感情を刺激している。

 26日現在、8人の日本人が「違法な情報収集活動を行った」として中国で拘束されている。日本側の外交関係者はこれらの事件を「冤罪の可能性が高い」とみているが、ほとんどの中国人は当局の宣伝を素直に信じているのだ。

 中国でかつて、日本語学習者が重宝される時代が長く続いた。改革開放に路線転換した1970年代末から90年代初めまで、「就職に有利」という理由で日本語を学ぶ若者が多く、事前選考で志願者を絞る大学もあったほどだ。

 中央も地方も対日関係を重視したため、日本語ができれば、中国に進出する日本企業だけでなく、公務員にもなりやすかった。中国外務省でも日本語研修組の「ジャパンスクール」は重きをなした。現在の王毅外相もその一人だ。

 しかし、時代が変わり、日本の資金や技術への必要性が低くなった今、中国当局は手のひらを返すように、歴史問題を持ち出し、日本の脅威を言い立てる。

 その理由については、「日本たたきによって政権の求心力を高めようとしている」とも指摘される。

 「私たち日本語学習者にとって、肩身の狭い時代はこれからも続くだろう」

 前述の大学教師の声は暗かった。(外信部次長)

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