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【台湾・李登輝元総統と会見】蔡英文総統の「現状維持」に苦言、期待の裏返し

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【台湾・李登輝元総統と会見】
蔡英文総統の「現状維持」に苦言、期待の裏返し

 李登輝元総統は今回のインタビューで、米国のトランプ次期政権が孤立路線を取るならば、日本はアジアで果たすべき役割に気づくべきだと助言した。安倍晋三政権にすれば海外からの頼もしい援軍といえよう。

 インタビューの関心事の一つが、蔡英文総統に対する李氏の評価だった。蔡氏は台湾の民主化をへて台頭した民進党出身で、しかも李氏自らが登用した経緯があるからだ。

 蔡氏が掲げる中台関係の「現状維持」に対する李氏の表現は厳しい。だが、それは台湾独立を目指してきた結党当時からの民進党支持者の声を代弁していると同時に、蔡氏への期待の裏返しだと理解できる。

 李氏は中台関係を「特殊な国と国の関係」と位置づけ、台湾は中国の一部ではないとの主張を内外に示した。ただ、発言は初代の民選総統に就任してから3年後の1999年のことで、蔡政権が対峙する現在の中国の経済・軍事力とは比べものにならない。

 民進党は、安易に独立傾向を強め、中国だけでなく米国との関係も悪化させた陳水扁政権(2000~08年)の教訓を学んだ。「現状維持」は自ら望んだ方針ではなく、やむを得ない選択肢といえる。蔡政権は中国に「善意」を示しつつ、前政権が前提としてきた「一つの中国」原則は認めないという民進党の最低限の主張を堅持している。

 こうした蔡政権に対し、中国の習近平政権は対話を停止し、国際社会での圧力を弱める気配はない。「現状維持」は台湾内部でも統一派、独立派双方から批判されている。

 総統府は14日、独立派の古老らを総統の上級顧問「資政」に任命した。この人事が独立派の不満をそらすためなのか、真剣に耳を傾ける意欲の表れなのか。注意深く観察する必要がある。(台北 田中靖人)

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