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【米大統領にトランプ氏】
次期政権の首席戦略官に「人種差別主義者」起用 民主、共和両党内から非難の声
【ワシントン=青木伸行】ドナルド・トランプ次期米大統領が、スティーブン・バノン氏(62)を首席戦略官兼上級顧問に起用するとしたことに対する批判の声が、民主、共和両党内から上がっている。同氏が主流派と敵対する保守強硬派で知られ、「人種差別主義者」とみられているためだ。
バノン氏が会長を務めていた保守系ニュースサイト「ブライトバート・ニュース」は、人種差別的な論調が目立つと指摘されている。このため共和党内に「バノン氏は白人至上主義で、憂えなければならない」との声がある。
米国の有力ユダヤ人団体の幹部も、バノン氏は「反ユダヤ主義者で人種差別者だ」と不快感を表明した。
一方、民主党下院トップのナンシー・ペロシ院内総務は「トランプ氏が、選挙戦で見せた憎悪あふれる分断的なビジョンを持ち続けていることの表れだ」と批判した。マークリー上院議員も「白人至上主義者を政府の頂点に招き入れた」とし、バノン氏の起用を撤回するよう求めた。
これらは大統領首席補佐官に決まった党主流派の、ラインス・プリーバス共和党全国委員長(44)に対する好意的な反応とは対照的だ。プリーバス氏は幹部の信頼も厚く、ポール・ライアン下院議長らも「誇りに思い興奮している」と称賛している。
保守強硬派と主流派の双方を取り込んだ今回の人事は、政策調整上の衝突を招く恐れもある。