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【タイ国王死去】失われた安定の要、民政復帰の総選挙へ影響も

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【タイ国王死去】
失われた安定の要、民政復帰の総選挙へ影響も

13日、タイの首都バンコクのシリラート病院の中庭で、国王死去の発表を聞きぼうぜんとする人たち(共同) 13日、タイの首都バンコクのシリラート病院の中庭で、国王死去の発表を聞きぼうぜんとする人たち(共同)

 【マニラ=吉村英輝】13日に死去したタイのプミポン国王は、国内で政治対立が先鋭化すると、その威光で情勢を安定化させる要となってきた。タイでは近年、タクシン元首相派と反タクシン派の対立が続いてきた。国王の死去が既得権益層を巻き込む政治対立に発展すれば、2014年5月のクーデターで実権を掌握したプラユット軍事政権が来年に予定する、民政復帰に向けた総選挙の実施が危ぶまれる恐れもある。

 タイでは1960年代、軍部が国王の権威を自らの正当性の確保に活用した。象徴的な存在にすぎなかったプミポン国王もこの流れに乗り、地方での社会活動などで政治的に成熟し、絶対的な権威を身につけていった。

 その結果、70年代以降の軍部によるクーデターは、国王の承認が得られるかどうかが成否を分けるようになった。92年に軍部隊が民主化勢力を弾圧した流血事件が起きた際は、軍を後ろ盾とする当時の首相と民主化運動のリーダーを正座させてしかりつけ、騒乱を沈静化させた。

 こうしたプミポン国王の威光に楯突いたとされるのがタクシン元首相だ。

 97年の民主憲法公布と、2001年の直接選挙による最初の議会選を経て首相の座に就いたタクシン氏には、常に汚職疑惑が付きまとった。同氏は、辞任要求の強まりを受けて06年4月に下院を解散。主要野党は総選挙をボイコットし、タクシン氏は再勝利を宣言したが、プミポン国王は、与党と小政党しか参加していない選挙を「民主主義ではない」と批判した。

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