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【石平のChina Watch】
世界秩序の破壊者同士の露朝を巻き込む「毛沢東外交」へ先祖返り
そして、伊勢志摩サミットの首脳宣言は名指しこそ避けているものの、南シナ海での中国の一方的な行動に対する厳しい批判となった。
これに対し、中国政府は猛反発してサミット議長国の日本だけを名指して批判した。つまり中国からすれば、サミットを「反中」へと誘導した「主犯」は、まさにこの日本なのである。
6月に入ると、外交戦の舞台はシンガポールで開催のアジア安全保障会議に移った。そこで、米国のカーター国防長官は先頭に立って中国を名指しして厳しく批判し、大半の国々はそれに同調した。今まで南シナ海問題でより中立な立場であったフランスまでがEU諸国に呼びかけて、南シナ海で米国と同様の「航行の自由作戦」を展開する意向を示した。
中国の孤立感と焦燥感はよりいっそう深まった。
そして、今月7日に閉幕した「米中戦略・経済対話」で、南シナ海をめぐる米中の話し合いは、完全にケンカ別れとなり、米中の対立はより決定的なものとなった。
その直後に、中国は直ちに前述の威嚇行動に打って出た。追い詰められた中国は、ロシアの「虎の威」を借りて日米主導の中国包囲網に対する徹底抗戦の意思を示したのであろう。