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【石平のChina Watch】
世界秩序の破壊者同士の露朝を巻き込む「毛沢東外交」へ先祖返り
政府は今月9日未明、中国、ロシア軍艦艇が相次いで、尖閣諸島周辺の接続水域に入った、と発表した。
中国軍艦が侵入してきたことは、日本に対する重大な軍事的挑発であるに違いないが、ロシア軍艦が同時に侵入した真相は不明だ。中露両国が事前に示し合わせた計画的行動である可能性もあれば、この海域を通過するロシア艦隊に中国軍が便乗して行動を取ったのかもしれない。いずれにしても、中国が意図的に、ロシア軍の動きと連動して日本への挑発的行為に乗り出したことは事実だ。
日本とともに尖閣防備にあたるべきなのは同盟国の米国である。中国の戦略的意図は明らかに、軍事大国のロシアを巻き込んで「中露共闘」の形を作り上げ、日米両国を威嚇して、その同盟関係に揺さぶりをかけることにあろう。
中国はなぜ、日米同盟に対してこのような敵対行為に出たのか。その背後にあるのは、先月下旬の伊勢志摩サミット前後における日米の一連の外交行動である。
5月23日、オバマ米大統領はサミット参加の前にまずベトナムを訪問し、ベトナムに対する武器禁輸の全面解除を発表した。
中国からすれば、南シナ海で激しく対立している相手のベトナムに、米国が最新鋭武器をもって武装させることは、中国の南シナ海制覇戦略に大きな打撃となろう。