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【黒田勝弘の緯度経度】
韓中「ワタリガニ戦争」再燃 中国の北朝鮮への入漁料支払いは制裁違反ではないのか
韓国は今、ワタリガニの季節だ。ワタリガニは韓国でもっとも漁獲量が多く、蒸してよし、鍋でよし、漬けてよしで、庶民の食卓に欠かせない韓国人大好きのカニである。「漬けてよし」はしょうゆ味で漬け込んで生で食べる「カンジャン・ケジャン」だが、韓国料理の珍味中の珍味である。
シーズンを迎えた西海岸沖の黄海では操業が盛んである。そのうちソウル市民の食卓を飾るカニの最大の漁場は北朝鮮との海の軍事境界線周辺。通称「西海(ソヘ)5島」の周辺で、北朝鮮との軍事衝突がひんぱんに起きている。このため日頃は北朝鮮が“主敵”だが、この季節になるとそれが中国に代わるのだ。
とくに南北境界線付近は軍事的緊張が高いので、韓国漁船は衝突を避けてあまり近づかない。そのスキをついて中国漁船が大量に進出し、数百隻で網目の細かい底引き網を使って稚魚を含め何からなにまでかっさらっていく。
近年、毎年繰り返されている風景だが、今年はワタリガニの漁獲量が昨年同期の3分の1とあって漁民の怒りが爆発した。
先日は韓国漁船が中国漁船を“拿捕(だほ)”して韓国当局に引き渡すという笑えない話まであった。世論は「韓国の軍・警は何をしているのだ! 政府は中国にちゃんとモノ申しているのか!」と沸騰している。
