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【台湾・総統選】
「ヒマワリ学生運動」の候補者は? 国民党の牙城に挑む第三勢力 「台湾を正常な国家に」

台湾の総統選と同時に行われる立法委員(国会議員に相当)選で、2014年春の「ヒマワリ学生運動」から派生した新党「時代力量(時代の力)」の支持が急伸し、中国国民党の牙城とされる選挙区で追い上げを図っている。民進党候補の蔡英文主席(59)との協力をアピールするが、既存の2党体制の打破や「一つの中国、一つの台湾」も鮮明に打ち出し、第3極を狙う。(台北 西見由章、写真も)
午前7時、台北市万華区の「環南市場」。屋内の狭い通路を仕入れ人のバイクが行き交う青果物売り場に、長髪を後ろで束ねた時代力量の公認候補、林昶佐(ちょうさ)氏(39)が現れた。
世界的に有名なメタルバンド「ソニック」のボーカルという異色候補だが、しゃがれ声で「お願いします、お願いします」と店主らに握手を求める。
豚肉売り場の林月琴さん(64)は「家族全員が蔡英文を支持している。彼も人柄は良さそうね。台湾は中国に近づきすぎたよ」と馬英九政権を批判した。
選挙スタッフとしてチラシを配っていた劉佩芸さん(38)は、「米国で講演を聞いて彼の理念にインスパイア(触発)された」と話す。米ニューヨークで経営しているIT企業を1カ月前から休み、選挙活動を手伝っているという。
時代力量は、中国とのサービス貿易協定に反発した学生らが立法院を占拠したヒマワリ運動から派生し、林氏は結党作業チームリーダーを務めた。党として初めてとなる選挙で選挙区に12人、比例代表に6人を擁立している。