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【河崎真澄の視線】
日本企業の中国現地法人は現地採用者にむしられている…その悪質な手口とは
「日本企業の中国法人で中間管理職を任されている現在が最も実入りがいい」。上海市内の居酒屋で、常連客から「カッちゃん」と呼ばれる中国人の男が、その「実入りの手口」を上機嫌で教えてくれた。
40代前半で月給は手取り1万元(約19万円)あまりだが、毎月のように10万元から20万元が親族の口座に振り込まれる。高級マンションの最上階で優雅に暮らし、2台のドイツ車を乗り回しているという。
1990年代に日本の大学への留学経験があるカッちゃん。帰国後に日系精密機械メーカーの中国法人に就職し、営業職をまかされてメキメキ“成果”を上げた。
取引先に買ってもらう立場ながら、その業界では人気の日本ブランド。中国企業の購買担当から、「少しでも多くの玉(ギョク)を他社より早く回してほしい」と言われ、接待や付け届けだらけの毎日だ。
上海市高級人民法院(高裁)の裁判官がセミナーで語ったところによると、こうした手口は「商業賄賂」として処罰の対象になるが、会食や季節のあいさつなど、商習慣上、許容範囲との境界線があいまいで立証はケース・バイ・ケースだという。