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【正論】「航行の自由」を東シナ海にも 平和安全保障研究所 理事長・西原正

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【正論】
「航行の自由」を東シナ海にも 平和安全保障研究所 理事長・西原正

 しかし現実には、中国の試みは、東南アジア諸国連合(ASEAN)の反発、米越の急接近、米比防衛関係の強化、日本の対越、対比への接近と巡視艇などの供与などを促すことになった。さらに力の行使を躊躇(ちゅうちょ)してきたオバマ米大統領もついに軍事行動を決心するに至った。

 フィリピンが中国との領有権紛争で常設仲裁裁判所に仲裁を持ち込んだが、来年3月頃に出るといわれる判決が大方の予想通り、フィリピンの勝訴になれば、米国の行動を後押しすることになる。そうなれば、明らかに中国外交の失敗となる。米国は少なくともそれまでは南シナ海の巡視活動を続行すべきである。その間、中国国内の反習近平派がどう出るのかを注視すべきであろう。

 ≪中国の「内海化」阻止を≫

 米国が南シナ海で取った行動は、力で現状変更をしようとする中国の動きを牽制することにある。これを東シナ海に当てはめれば、尖閣諸島の現状(日本の施政権下にある)を力で変更する試みを認めないために、米艦が海上自衛隊とともに中国の動きを牽制することがあってよいことになる。

 中国が鹿児島県以南の南西諸島から台湾、フィリピンに至る第1列島線の内側から米軍のプレゼンス(存在)を排除しようとしていることに対抗するためにも、米国がより積極的に東シナ海での航行の自由を維持しておくことが重要である。

 2013年11月に中国が東シナ海の上空に「防空識別区」という名の疑似領空域を設定したとき、米国は直ちにB52爆撃機をその空域を通過させて、そこが中国の領空域であることを認めなかった。同様に東シナ海が中国の「内海化」することを、今から阻止する構えを見せておくことが必要である。

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