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TPP交渉 米国が事態打開にカード バイオ医薬品データ保護期間7、8年で調整

【ラハイナ(米ハワイ州)=小雲規生】米国が、TPP交渉の大筋合意を目指すためカードを切り始めた。バイオ医薬品のデータ保護期間に関し、複数の海外ディアによると、これまで主張してきた12年よりも短い7、8年で譲歩する方向で検討に入ったもようだ。ただ、砂糖については市場開放の「聖域」と位置づける姿勢を崩していないとみられ、交渉参加国からは米国への不満がなお出ている。
データ保護期間は、製薬会社の新薬開発を促すための措置で、期間中はジェネリック医薬品(後発薬)の製造ができない。
新薬メーカーを抱える米国はデータ保護期間を12年と主張、安価な後発薬を普及させたい新興国や豪州、ニュージーランドは5年以下を求めていた。
こうした中、複数の海外メディアは「米国は12年を実現できず、7、8年で決着する」との見通しを報じた。TPPをアジア重視戦略の中核と位置づけるオバマ米政権は、今回の閣僚会合で大筋合意し、今秋の署名を経て、来年初め米議会で批准するというシナリオを描く。データ保護期間で譲歩を示すことで、各国の理解を得ようとしたとみられる。