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【きょうの人】
NY在住の日本人映画監督、佐々木芽生さん(53) 「クジラ映画」を描く

「映画の制作を通じ、健全な対話が芽生えるよう願っている」
反捕鯨団体シー・シェパードが標的にする和歌山県太地町を舞台に、クジラ・イルカ問題に関するドキュメンタリー作品の制作を進める。米ニューヨークに移り住んで27年。今月、日本で講演や撮影を行った。
制作の発端は同じく太地町を舞台とし、2010年に米アカデミー賞長編ドキュメンタリー映画賞を受賞した「ザ・コーヴ」だ。イルカが湾で殺されていく盗撮映像の「すごさ」に圧倒された。その一方で、のどかな港町の漁師を「悪者」に仕立てる極端に偏った見せ方に嫌悪感を覚えた。
海外では衝撃を与えた作品なのに、日本からは有効な反論が発信されていない。そんな実態も制作の動機の一つになった。「捕鯨の伝統や、『いただきます』という言葉に込められた真意を伝えなければ、対立と憎しみはさらに深まると思う」