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【G20】“死に体”政権、外交に活路も…オバマ氏歴訪・演説の狙い

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【G20】
“死に体”政権、外交に活路も…オバマ氏歴訪・演説の狙い

15日、オーストラリアのブリスベンで演説するオバマ米大統領(AP=共同)

 【ワシントン=青木伸行】オバマ米大統領のアジア太平洋3カ国歴訪と、最後の訪問国であるオーストラリアで15日に行った演説の狙いは、残り任期の約2年間、アジア重視戦略を維持、強化する決意を示すことで、地域内に浮上している米国の関与低下に対する懸念を払拭することにあった。同時に、オバマ政権のレームダック(死に体)化が今後、不可避とみられる中で、外交に活路を見いだすという側面もある。

 「(地域の)人々は、米国がリバランス(再均衡)戦略を維持するのか、懐疑的になっている」

 演説はこれに対する答えだった。「問題は中国がいかなる役割を果たすのかだ」と語るなど、戦略の主眼が、中国に対する米国の優位性を確保することにあることも隠さなかった。

 オバマ大統領は2011年、やはりオーストラリアでアジア重視戦略を打ち出した。だが、中東などで「アラブの春」が吹き荒れ、その後もウクライナ情勢や、イスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」への対応に追われている。

 これに加え、先の米中間選挙で民主党が大敗し、政権のレームダック化が進むにつれ、アジア戦略が手薄になるのではないか、との懸念が地域には存在する。

 とりわけ、中国が覇権拡大の手を緩めない中で米国の関与が低下すれば、「米中の力の均衡に影響が及びかねない」(東南アジア筋)との危惧は強い。今回の歴訪と演説には、地域諸国に安心感を与える狙いがあり、中国へ向けたメッセージでもある。

 課題も多い。先の米中首脳会談では、米中両軍の偶発的な軍事衝突の回避へ、「相互連絡システム」を構築することで合意した。だが、中国の実際の対応は不透明で、システムが構築されても中国とフィリピン、ベトナムとの衝突回避に直結するものではない。

 フィリピンへの米軍艦船などのシフトにしても、「定量的には期待したほど進んでいない」(フィリピン政府筋)との声もある。関与と抑止を使い分けながらの対中・アジア重視戦略は、安定を欠いたままだ。

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