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米国“民営刑務所”転換点 州政府が相次ぎ閉鎖決断 非効率運営、訴訟リスク回避で

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米国“民営刑務所”転換点 州政府が相次ぎ閉鎖決断 非効率運営、訴訟リスク回避で

 1980年代に米国で誕生した民営刑務所がここ数年、相次いで閉鎖されている。州政府が予算削減の切り札として民間企業に運営を委託してきたが、費用を効果的に削減できず、刑務所内の治安も悪化。その責任を問われ、州政府が訴訟に巻き込まれる例もあるためだ。司法機関の“天下り”先になっていることへの批判も強く、登場から30年が過ぎ、民営刑務所は大きな転換点を迎えている。(米東部ニュージャージー州エリザベス 黒沢潤、写真も)

 米国では80年代以降に犯罪が多発し、厳罰を下す州が相次いだ。84年以降は受刑者の増加で、刑務所運営を民間委託する州が増え、これまでに30州以上で民営刑務所が設置されてきた。

 公立病院の運営経験を生かして参入した米最大の刑務所運営会社「コレクションズ・コーポレーション・オブ・アメリカ(CCA)」などの刑務所に収容される受刑者は、2008年に9万6千人にまで達した。

 しかしその後、東部ニューヨーク州や中西部ミシガン州、南部フロリダ、バージニアの両州などが民営刑務所の閉鎖を相次いで発表。司法関係者によると「『安く効率的な運営』をうたい文句にした民営刑務所だったが、必ずしも経費削減に結び付かなかったため」という。

 例えば、西部アリゾナ州では、民営刑務所の方が州刑務所より、年間で受刑者1人当たり1600ドル(約16万円)も多くの出費を余儀なくされた例もあった。ミシガン州では今秋、民営刑務所の運営業務入札を行った際、2企業が落札上限を数百万ドル(数億円)も上回る額を入札したため、州政府は民間委託を断念した。

 民営刑務所の閉鎖は、訴訟リスクを回避するためでもある。西部アイダホ州では10年、警備要員不足で刑務所の規律を保てずギャングが暴れ回り、一般の受刑者の生命が脅かされたとして、米自由人権協会(ACLU)がCCAや州政府を訴えた。

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