米、国際刑事裁判所に「懸念」 アフガニスタンの米兵捜査 判事に制裁も示唆 - 産経ニュース

米、国際刑事裁判所に「懸念」 アフガニスタンの米兵捜査 判事に制裁も示唆

 【ワシントン=加納宏幸】米国務省のナウアート報道官は11日の記者会見で、アフガニスタンで米兵や米中央情報局(CIA)当局者が戦争犯罪に関与した疑いがあるとして国際刑事裁判所(ICC、オランダ・ハーグ)で捜査する動きがあることに「懸念」を示した。米国はICCに加盟していない。トランプ政権は米国の利益に反する行動を取る国際機関への対抗姿勢を強めており、高官は判事への制裁発動も示唆した。
 ICCの検察官は昨年11月、米国がアフガン戦争で2003年5月から収監者に対する拷問や強姦(ごうかん)といった戦争犯罪に関わった可能性があるとして、捜査開始を判事に要請した。サンダース米大統領報道官によると、捜査に関して近く判断が行われるとの連絡が米側にあったという。
 そのため、ボルトン大統領補佐官(国家安全保障問題担当)は10日の講演で「ICCは米国の主権や国家安全保障上の利益を脅かしている」と批判し、判事や検察官を米国への入国禁止などの制裁や訴追の対象にするほか、捜査に協力する国や企業を制裁対象に加える可能性に言及した。
 ナウアート氏も11日の記者会見で「米国では合衆国憲法に最も高い司法上の権威がある」と述べて、米兵らに対するICCの捜査を認めない考えを強調した。
 ICCは2002年に発足したが、当時のブッシュ(子)政権は主権侵害への懸念などから参加しなかった。日本はICC加盟国で、判事も出している。
 米国の強硬姿勢の背景には、ICCに加盟するパレスチナが米国の同盟国イスラエルの戦争犯罪を捜査するよう求めていることもある。国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)への資金拠出の中止、パレスチナ解放機構(PLO)のワシントン事務所閉鎖に加えてパレスチナ自治政府に圧力をかけた。
 国際刑事裁判所(ICC) ジェノサイド(集団殺害)、人道に対する罪、戦争犯罪などを犯した個人を国際法に基づき裁く常設の国際刑事裁判機関。拷問や性的暴行などの罪も裁かれる。国連外交会議で採択された設立条約が2002年7月に発効し、国連から独立する形で創設。17年11月現在、日本を含む123の国・地域が加盟。米中露などの大国が加盟していない半面、欧州諸国はICCを重視。